山田雅人「かたりの世界」で新境地、マイク1本でスポーツ名場面など再現
地元大阪でやりたい、友人の言葉が転機に
だが、もうひとつ叶えたい目標があった。それは地元大阪でかたりをやることだった。かたりのスタイルを確立しつつある時、山田さんは大阪で講演をする段取りをつけ1本の電話をかけた。その電話の相手はABC朝日放送の三代澤康司アナウンサー(53)。同局の「おはよう朝日です土曜日です」で共演してきた同学年、長年の友人だ。「彼に語りをみてもらいたくて、さらに磨きをかけてきた」と語る山田さん。会場のワッハ上方で「掛布vs.江川」を披露。講演後、三代澤アナから「山田君、これでいき」と声をかけられた。「いつも番組で真剣にダメ出しをだしてくれて、ずっと一緒にやってきた仲間。彼からの言葉で地元、そして各地でも語りをやろうと決めました」。
実父と大先輩の宇津井健さんへの想い
昨年末、大阪の会場でかたりを披露した際は、ある想いを込めて公演に臨んだ。「観に来てくれるはずやった父親をこの2カ月前になくしてね」。悲しみを乗り越え、大きな会場でのかたりをやり遂げた。「これで自信を持てたかな。きっと親父はいつもみてくれてる気がします」。そして、14日には長年ドラマで共演した宇津井健さんが死去。「宇津井さんは親父と同い年。演技をする際、カメラに映ってない場所でも一生懸命演じておられ、本番が終わっても10秒くらいは岡倉大吉のままでしたから」。こうした宇津井さんの姿勢から学ぶことが多々あり、今でもその思い出は胸に刻まれている。「この半年で親父を2人亡くしました。けど、きっと喜んでみてくれていると思います」と目を閉じて語る。
新たな「かたり」に挑戦
29日には大阪の森ノ宮ピロティーホールで、かたりを披露する。1000人規模の会場とあって、今回は画像を使ってかたりをするという。その第1回が「江夏の21球」。「新聞社さんの協力を得て当時の写真をお借りして、あの大阪球場の名場面をかたります。実は19歳やった僕もあの場所におったんです。大好きな地元『大阪』から新たな挑戦をしたいんで」。各地を飛び回りながらも取材とかたりを続ける山田さん。「自宅に3000人分を綴った取材ノートが山積みになってて、うちの奥さんがえらい困ってるんですわ」とさわやかな笑顔を残して次の会場へと向かっていった。