ワークマンは「8800円ランドセル」で勝負…「過去最悪の少子化」でも異業種がランドセル市場に続々参入するワケ
■壊れやすいと結局高くつく 比較的新規参入組に入るニトリもランドセルを発売しています。その中の合皮素材ランドセルは2万9900~5万9900円という価格帯となっており、モンベルやワークマンに比べると少し高めの価格設定となっています。重さは1.1キロ強というスペックなので、見た目に反して軽いと感じられることでしょう。あとは耐久性がどれほどあるかが重要になります。 6年間壊れないほどの耐久性があるなら、3万円台~4万円台くらいでも十分見合った価格であると思います。極端な例ですが、安くても毎年壊れてしまうと総額は6万円、7万円くらいとなり逆に高くついてしまいます。それゆえに耐久性こそランドセルにとって最重要課題ではないかと考えます。 ■「少子化」でもランドセル市場がアツい理由 さて、2010年代半ば以降、続々とランドセル業界に新規参入業者が増えているのはなぜでしょうか。もちろん、選択肢の多様化を望む消費者ニーズがあることは言うまでもありません。しかし、供給側からすると少子化が進んでおり、ランドセルに限らず子供用商品というのは市場拡大が難しい分野でもあります。それにもかかわらず多くの業者が新規参入していることは奇異に映ります。 出生数の低下が問題となっているのは誰もが知るところです。23年の出生数は72万7000人、24年上半期は約33万人と、初の70万人割れの公算が高いと報道されています。少し前までは100万人前後が当たり前でした。 子供向けのお菓子やキャラクター玩具のような「完全なる嗜好品」の場合、どれだけ売れるのかを推測するのは非常に困難です。ブームとなれば爆発的に売れるでしょうし、不振なら全く売れずにほとんどが不良在庫になります。 しかし、ランドセルは違います。 義務教育という過程を通る子どもたちは、よほど特殊な事情が無い限りほぼ全員が小学1年生になります。そうすると、昨年生まれた72万7000人はほぼ全員が6年後にはランドセルを買うことになります。 言ってみれば「72万7000個が確実に売れる」市場だということになります。出生者数の減少と言われながらも72万7000個が確実に売れる市場というのは供給側からすると非常においしい市場に映ります。少し前なら90万個、80万個が売れた市場です。