「付き添いだけで50万取られて…」須藤早貴被告が語った「事件直後に覚醒剤の証言をしなかった理由」【紀州のドン・ファン公判】
『紀州のドン・ファン』と呼ばれた会社経営者・野崎幸助さん(当時77)が自宅で死亡していた事件で、殺人罪に問われている元妻・須藤早貴被告(28)。裁判員裁判は11月18日に結審し、検察側は無期懲役を求刑している。無罪を主張し続けている須藤被告は、法廷で何を語ったのか。被告は事件当時、自分の周りに「信頼できない大人」が多く集まり、真実を語ることができなかったと主張したのだった――。【前後編の後編。前編から読む】 【写真】須藤早貴被告が出演した、大人のための動画DVDのパッケージが掲載されたPOP。セーラー服姿の須藤被告も
11月15日、最後の被告人質問となった第21回公判。須藤被告は野崎さんとの結婚後、東京にあるA法律事務所とやり取りをし、所属する弁護士と野崎さんの会社との交渉の末、7000万円の役員報酬を得たと主張した。 タワマンに暮らし高級バイクを購入するなど、散財していた須藤被告。事件直後、須藤被告の周りには弁護士や公認会計士など多くの“大人”が集まっていたというが、須藤被告は当時の弁護士への「信頼の薄さ」をアピールした。 「当時の弁護士は一度、警察から事情聴取に呼ばれた時に警察署についてきてくれましたが、それだけで50万円も取られました。それで、もう付き添いを頼まなくなったんです」(須藤被告の公判での主張)
須藤被告のこのような“アピール”には、理由がある。それは、事件の鍵を握る覚醒剤購入の証言に関してのことだ。 「須藤被告は今回の公判で、覚醒剤について『野崎さんに依頼されて購入した』と初めて証言している。野崎さんが覚醒剤を常用していたと主張するための証言ですが、検察は、被告が事件当時の取り調べで覚醒剤について『何も知らない』と話していたのはなぜか、と追及していました」(裁判を傍聴したライター) 須藤被告は「社長(野崎さんのこと)に覚醒剤を飲ませたことはない」と無実を主張する一方で、野崎氏に頼まれて覚醒剤を購入し、渡したことは認めている。それにもかかわらず、覚醒剤を購入した事実について、取り調べで当初は話しておらず、そのことは須藤被告にとって不利な材料だ。 須藤被告はこれについて、現在の弁護団を専任する前に弁護を委ねていた弁護士との関係がうまくいっていなかったからであるように説明した。
「須藤被告が野崎氏に頼まれ、覚醒剤を購入したことを話すようになったのは、勾留場所が警察署から拘置所に変わり、現在の弁護士らが弁護人になってからだったと言います。当時の弁護士が信用できなかったから、当時覚醒剤購入について話せなかった、という主張なのでしょう」(同前) 20回以上にわたる公判の末、検察側は無期懲役を求刑している。裁判官そして、裁判員らは真っ向から対立する双方の主張をどのように判断するのか――判決は12月12日に言い渡される予定だ。 (了。前編を読む)