「お金」で「命」は買えない…地震で死なないために、「もっとも頑丈で安い器具」と「そのつかいかた」
南海トラフ巨大地震は、近い将来の発生が想定されている「あり得る未来」です。それも、かなり高い可能性として。我が家は日本海側だから関係無い? 確かに南海トラフ巨大地震の影響は軽微かもしれませんが、日本に住んでいる限り、「いつでも・どこにでも」最大規模の大地震に見舞われる可能性はあるのです。 【マンガ】「南海トラフ巨大地震」が起きた時、もし「名古屋港」にいたら… 本稿では、いつかくる地震に備えて、いまのうちにやっておきたい対策について解説します。
室内対策/賃貸住宅の家具固定
各種の耐震固定器具の中で、最も頑丈でありながら材料費が安い器具が「金具とネジ」です。いわゆるL字金具などを使用することで、大地震の揺れに負けない固定を行うことができます。持ち家の場合は積極的にネジ固定をしていただきたいのですが、問題は「原状回復義務」の壁が立ち塞がる賃貸の住宅です。敷金が返ってこないだけでも悲しいですが、原状回復費用が請求されるかも……と考えると家具固定に及び腰となります。 一部の公営住宅には、ネジ打ちが可能な物件もありますので、ぜひ問い合わせをしていただきたいのですが、民間の賃貸物件の多くは、耐震固定によるネジ打ちを原状回復の対象としています。この場合は金具による固定ではなく、粘着器具や突っ張り棒を使用するのですが、「敷金は諦めてネジを打つ」という考え方もあります。お金で命は買えません、お金でネジ打ちができると考えて、家具固定をしてしまうことも有効なのです。
室内対策/「金具」による固定
家具や家電を固定する方法として、頑丈で材料費も安い方法が「金具」を使用した固定です。建物の壁と家具や家電を、ネジやボルトを使用して直接固定します。正しく設置すれば大地震の揺れでも転倒を避けられるようになり、メンテナンスもほぼ不要となります。 金属の耐震固定器具は、「L字金具」をはじめ、直線金具や、壁にネジで固定した金属プレートと家具や家電をベルトやワイヤーで固定する器具、テレビとテレビ台をつなぐ金属ポールなど種類が豊富です。用途に合わせて選択をしてください。 ただし、壁にネジなどを打ち込む際には、木材の「下地」部分を探して固定することが重要です。一般的な壁は石膏ボードと呼ばれる板材ですが、釘やネジを打ち込むと崩れてしまうため、ボードの裏にある木材の下地に打ち込む必要があります。下地は、建物の設計図を見たり「下地センサー」などの器具を使うことで探せます。