日体大の1年生QB覚醒、投げ込み猛練習で苦手なパスを半年で克服「まずはBIG8で一番のQBになりたい」
高校時代はパスが苦手 オフェンスはRB頼り
幼稚園の年中のとき、家族ぐるみで仲が良かった友人に誘われて、ワセダクラブでフラッグフットボールを始めた。中学で佼成学園に入り、そのまま名門の高校アメフト部に。QBの1学年上に絶対的エース小林伸光(日本大学)がいたこともあって、試合にメインで出るようになったのは高校3年生になってからだった。高校では日本選手権クリスマスボウルに3年連続で出場し、最終学年時は立命館宇治に11-19で負けて準優勝だった。 石川の代の佼成学園はラン攻撃の比重が高く、同期の堀川丈太郎(関西大学)や平本清耀(立教大学)、小林蹴人(高3)らWRには能力が高い選手がいたにもかかわらず、パスを投げるのは1試合で数回程度だった。 石川が高校時代を振り返る。「パスが少なかったのは、僕の完全な実力不足です。ボールのレース(縫い目)をすぐに持てないことも多くて、苦手意識がありました」。早いタイミングのパスが特に苦手だったという。オフェンスは、そのほとんどがRB宮本樹音(法政大)のランプレーによって組み立てられていた。 大学進学に際し、TOP8の強豪校を志望した。しかしスポーツ推薦のトライアウトで合格することができず。すでに時期も遅く募集を締め切っている学校がほとんどで、進学先を探すのに苦労した。そんな時に声を掛けてくれたのが、日体大のオフェンスコーディネーター秋山峻コーチだった。 「秋山さんに熱心に勧誘していただいて、日体の練習を見学させてもらいました。ここでプレーしたいと強く思いました」。日体大の活気ある雰囲気、学年をまたいだ仲の良さに魅力を感じた。
大学進学後に徹底して投げ込み、エースQBに
日体大に進んでからは、苦手のパスを克服するために、大外WRの位置に人に立ってもらいクイックスローの練習を繰り返した。毎日の練習で、秋山コーチや小林優之コーチ(19年卒、オービック)の指導を受けながら、ヒッチなど早いタイミングのショートパスを何十球も投げ込んだ。すると徐々にパスの正確性が増してきて、自信を持てるようになった。夏ごろにはエースQBに定着し、秋シーズンには自分がエースQBとしてチームを勝たせたいという思いが強くなった。 今は高校と正反対のプレースタイルを取っているが、そのことへの苦手意識はない。「秋山さんが1プレー1プレーを事細かに教えてくれるので、相手がこう来たらこっちを狙うとか、かなり理解も上がりました。自分にとっても日体のパッケージはフィットしてるなと感じます」。かつてスナップを受けてからボールを持つのが苦手だったことがうそのように、今ではレースを持たずにクイックに投げ込んでいる。 「佼成学園は日本一のチームだったので、必然的に求められるレベルの高さだったり緊張感やプレッシャーはありました。今、日体はすごくフラットなチームで先輩たちも優しくて、そこで上達している実感があります」。石川にとって、今の環境は自分に合っているという。