日体大の1年生QB覚醒、投げ込み猛練習で苦手なパスを半年で克服「まずはBIG8で一番のQBになりたい」
アメリカンフットボールの関東学生1部BIG8に所属する日本体育大学は、第6節を終えて3勝2敗となり、最終節を残してリーグ3位が決まった。目標としてきた上位リーグTOP8との入れ替え戦には進めなかったが、このチームを1年生ながらエースQBとして率いている石川竜之介(佼成学園)は、積極果敢なプレーで奮闘してきた。 【写真】駒澤大戦ではパスを52回も投げ315yd獲得。チームの攻撃獲得距離337ydのほとんどを石川のパスで稼いだ
入れ替え戦は逃すも ルーキー石川のパスが覚醒
日体大はリーグ中盤まで全勝をキープし、青山学院大学、駒澤大学と並んで上位2校が得られる入れ替え戦出場枠を争ってきた。しかし11月2日の青山学院大戦で10-15で負け、11月17日の駒澤大戦にも負けた。優勝争いから一段落ち、入れ替え戦出場の芽はついえた。 その一方で、ルーキーQB石川のプレーには、思い切りの良さと確かな切れ味があった。青山学院戦は雨天の影響でパスが思うように投げられない状況だったが、天候に恵まれた駒澤大戦では、クイックなパスを数多く決めた。この試合で石川は、パスを52回投げて39回成功させ、315yd1タッチダウン(TD)を稼いだ。1人のQBが1試合でパスを投げる数として、52回は驚異的と言っていい。日体大のチーム首脳陣がいかに石川のパス能力にかけていて、信頼しているのかがわかる数字だ。 この試合、思うように得点につながらなかったものの、石川はハイテンポな攻撃を率いてロングドライブを展開した。攻撃獲得距離は、駒澤の277ydに対して337ydと上回った。そのほとんどを石川がパスで稼いだことになる。 終盤にはゴール前に攻め込みながら、TDを狙ったプレーをインターセプトされた。「ゴール前で相手がマンツーマンで守ってくることはわかっていました。でも自分が狙いすぎたせいで、インターされる形になってしまって。自分がもっと詰め切れていれば。悔いしか残らない試合です」。悔しさをにじませながら、静かに石川は試合を振り返った。 スコア上は9-23と及ばなかった一方で、そのプレーぶりはルーキーとは思えないものだった。同時に、高校時代からのプレースタイルの変貌(へんぼう)ぶりに驚いた。