＜甲子園交流試合・２０２０センバツ３２校＞倉敷商６－１仙台育英 倉敷商、細腕好救援 ２年生左腕、６回無失点
◇第４日（１５日・阪神甲子園球場） 倉敷商が着実に加点して快勝した。１点を追う四回に田村の適時打で追いつき、五回は押し出し四球で勝ち越し。２点リードの七回に浅野の適時打などで３点を加えた。２番手左腕の永野は変化球に切れがあり、６回を無失点に抑えた。仙台育英は四回に向坂の適時打で先制したが、その後は打線がつながらず、継投も遅れた。 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら ＜倉敷商６－１仙台育英＞ 細腕から繰り出すボールが、糸を引くようにコーナーに決まった。倉敷商の２年生左腕・永野は「先輩たちは最後の試合。全力で投げようとマウンドに行った」と６回無失点の好救援を振り返った。 ともに無得点の四回無死二塁で、先発の３年生右腕・福家を救援。得意の継投パターンだが、自身初の甲子園に緊張もあった。先頭打者の投前バントを捕球できず一、三塁（記録は犠打と失策）とされ、左前打で先制を許した。だが引きずらずに後続を断つと、五回以降は毎回の７奪三振。１３０キロ台前半の直球に鋭いスライダーを交え、仙台育英の強力打線を手玉に取った。 １７２センチ、５９キロ。体重が増えにくい体質で、冬場は夕食に丼飯を２杯食べたが「結果が出なかった」と苦笑する。ただ、ない物ねだりをするのでなく制球力に磨きをかけてきた成果を発揮。梶山監督が親しみを込めて「ガリガリ」と評する背番号１の体が、マウンド上で大きく見えた。 ＯＢの故星野仙一さんの名前にちなみ、「毎日１００１（せんいち）本スイング」に励んできた打線も七回に３連打などで援護。８強入りした２０１２年夏以来の「甲子園」での白星に、永野は「この経験を新チームのメンバーで共有し、甲子園で優勝できるようにしたい」と力強かった。【野村和史】 ◇仙台育英、先制打暗転 走塁後、球の切れ落ち 自らのバットで勢いに乗るはずだった。四回無死一、三塁で、仙台育英の先発左腕・向坂が左翼線へ先制適時打。しかし、この一打が大切な投球の歯車を狂わせた。 三回までの無失点投球が一転、球の切れが落ち始めた。「走塁後の投球で疲労や暑さがあり、スタミナ不足が顕著に出てしまった」。生命線の低めの変化球も相手に見極められ、四回以降、４イニング連続失点。結局、１０安打を浴び、６失点して七回途中で降板した。 昨夏の甲子園８強入りメンバーが数多く残る仙台育英だが、向坂は甲子園のマウンドを踏んでいない。今春のセンバツも新型コロナウイルスの影響で中止。自身初の大舞台に「多少の緊張感も合わさって、終盤にどっと疲れがきた」と振り返った。 「チームとして絶対に勝ちたかった一戦だったが、それ以外は財産になった」と向坂。最後の試合はほろ苦くも、実りのある結末となった。【新井隆一】 ……………………………………………………………………………………………………… △午後３時３７分開始 仙台育英（宮城） ０００１０００００＝１ ０００１１１３０×＝６ 倉敷商（岡山）
