syrup16g『遅死11.02』 20年ぶりの日比谷野音ワンマン開催!「また会えてうれしいです。来年も会いましょう」
五十嵐隆がsyrup16gの解散後に始めたソロ・プロジェクトで、ライブを数度行ったのみで解散した「犬が吠える by Takashi Igarashi」の曲など、音源としては未発表になっていた曲を集めて、再始動後のsyrup16gで新たにレコーディングした──つまり『delayedead』と同じ趣旨で作られた2017年のアルバム『delaidback』からの「赤いカラス」。『delayedead』からの「I Hate Music」。今のところの最新アルバムである『Les Mise blue』(2022年)からの「In My Hurts Again」。また『delaidback』から「変拍子」──と、じわじわと重力が増していくようなグラデーションで、新旧の楽曲を並べた末のラストは、同じく『delaidback』からの「光なき窓」。“そばにいてくれ”“光なき窓 窓 窓”という、五十嵐のシャウトが響き、本編の全15曲が締められた。五十嵐、「ありがとう!」とひとこと残して、ステージを去る。 アンコールは、まずキタダマキがひとりで現れ、イントロを弾き始める。次いで中畑大樹が出て来て、立ったままキックを四つ打ちで踏む。最後に登場した五十嵐隆が、そのベース&ドラムにディレイをめいっぱい効かせたギターを重ね、座った中畑の手数足数が増えていった末に、「ああー!」という五十嵐の絶叫と共に「Sonic Disorder」が始まった。 そこから、「神のカルマ」「落堕」「coup d’Etat~空をなくす」と、長年、syrup16gのライブにおいて、本編後半やアンコールなどの重要なポイントを担ってきた楽曲が、固め撃ちされていく展開になる。雪崩のような時間。怒濤の勢いでアンコールの4曲を終えた五十嵐は、去り際にまた「ありがとう!」と告げた。 ダブル・アンコールを求めるハンドクラップに応じ、ギターを提げてマイクスタンドの前に立った五十嵐、この日最後のMCをする。「今年、初ワンマンということで。というか、今年これ一回だけなんだよ。ちょっと、業が深かったというか、曲にパワーが集まりすぎて、雨雲が集まって、みなさんに災害をもたらしてしまった。ほんと申し訳ないです」というお詫びで笑いを取ったと思ったら、間髪を入れず「でも! めっちゃ楽しかった! 野音やれてよかった!」と大きな声で言い、拍手を浴びる。「20年も、あってよかった、みなさんも、生きててよかった。来てくれた人、また会えてうれしいです。来年も会いましょう、よろしくお願いします」と言ってから、五十嵐は「Reborn」のイントロを弾き始めた。 中畑大樹の50歳を祝うイベントで、彼がプレイするバンドが総出演した『中畑大樹50祭』(7月25日/渋谷Spotify O-EAST)、初出演した『FUJI ROCK FESTIVAL』(7月27日)、21年ぶりだった『RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO』(8月16日)など、2024年のsyrup16gのライブは全部で6本。その6本目であり最後である日比谷野音は、この「Reborn」で終了した。なお、今年「Reborn」が演奏されたのは、『中畑大樹50祭』『FUJI ROCK FESTIVAL』に続き、三度目である。 Text:兵庫慎司 <公演情報> 『遅死11.02』 2024年11月2日(土) 東京・日比谷野外大音楽堂 【セットリスト】 01.クロール 02.前頭葉 03.Heaven 04.もういいって 05.翌日 06.生活 07.真空 08.Breezing 09.エビセン 10.明日を落としても 11.赤いカラス 12.I Hate Music 13.In My Hurts Again 14.変拍子 15.光なき窓 En1.Sonic Disorder En2.神のカルマ En3.落堕 En4.coup d’Etat~空をなくす WE1.Reborn