大手商社・丸紅の「次期社長は鬼軍曹」 マッキンゼーに転職してからの出戻り&14人ごぼう抜きの昇格で話題
「次の社長は、いずれも60歳の4人の専務執行役員から選ばれるのではないか」 丸紅のある社員はそんな観測を持っていたが、フタを開けてみれば副社長や専務執行役員ら14人をごぼう抜きしての抜擢となった。 【写真を見る】「現場にはもう少し柔らかく対応している」と笑う丸紅・次期社長の大本昌之氏 来年4月、大本晶之常務執行役員(55)が丸紅の社長に昇格する。2019年から経営を率いてきた柿木真澄・現社長(67)は会長に就任する。気さくな人柄で社員にも親しまれていた柿木氏だが、慣例通り6年でその座を譲ることになった。
11月27日に開いた記者会見で大本氏は、「丸紅は新しい成長ステージに入る。私のミッションは丸紅を次なる高みへと牽引すること。現場に降りていって会話して、上を目指そうという気持ちを喚起させていきたい」と意気込みを語った。 ■ガッツがあってすぐに行動を起こせる 大本氏は柿木社長と同じ電力畑出身で、コスタリカや中国、トルコなどで発電所の立ち上げに携わった。2019年には次世代事業開発本部の初代本部長に就任。次世代蓄電池、医療や美容といったヘルスケア・ウェルネスの新領域を開拓し、出資先の事業価値を2~3倍に拡大させてきた。
柿木社長が次期社長就任を打診したのは10月のこと。その前後の東洋経済のインタビューでは、次期社長の人物像について「ギアチェンジをいとわず、皆を納得させられる人」と語っていた。 大本氏の人物像については「鬼軍曹」と表現する。「ガッツがあってすぐに行動を起こせる人」「下の人が息苦しくなるくらい仕事に対して厳しい」(柿木社長)。 当の大本氏は「決してそういうことはなく、現場にはもう少し柔らかく対応している」と笑う。一方で次のようなエピソードも披露した。
週末は、傘下の生活関連会社が運営するブランドショップを訪れ、顧客がどんな商品を手に取っているか観察したり、店員との会話を楽しんだりしているという。 入社5年目の電力本部時代には、トルコの大型発電所開発の担当決めで、先輩から「まだ荷が重い」と反対されたが、当時の部長が「若手にこそ経験させるべき」と押し切り、プロジェクトをやり切った――。 このトルコでの経験から、大本氏は「為せば成る。ポテンシャルを大事にしている」と話す。