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「手術しない選択」を考える 投薬治療との費用差と再発リスク

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マネーポストWEB

 病気の治療費を考える上で、「手術をしない」という選択肢について理解を深めておいたほうがいい。江戸川橋胃腸肛門クリニックの森康治院長の解説。 【表】急な病気で困った時に役立つ「医療の公的制度8」

「基本的には病気の種類や症状に応じて医師が治療法を判断し、患者と相談します。ただし最近は治療薬の進歩によって、手術の代わりに投薬治療を選択するケースが増えています」

 手術を回避して、投薬治療を望める代表的な疾患が、虫垂炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍だ。

「臓器に穴が空く『穿孔(せんこう)』が生じたら緊急手術をする可能性が高いですが、それ以外は最初に投薬治療をするケースが一般的です。虫垂炎の場合は抗生剤を使用して、胃潰瘍・十二指腸潰瘍にはピロリ菌を除去する薬を使用するケースが多い」(前出・森氏)

 手術と投薬では治療費はどう変わるのか。虫垂炎の場合は、以下となる。

 手術して5日間入院した場合、メインの費用である手術料13万7600円に麻酔費や薬剤料約3万円が加算される。さらに入院費や食事代などを加えた総額は約34万5000円(3割負担で約10万3500円)だ。

 一方、手術ではなく投薬治療を選択した場合は、7日間入院しても薬代や検査代、食事代などを合計した総額は約23万5000円(同約7万500円)で済む。3割負担で比較すると3万円ほどの差となる(別掲図参照)。

 ただし手術したほうが、予後がよくなる事例が多いことにも注意したい。

「治療後、1年以内に再発しないことを示す割合を治癒率と言います。虫垂炎の場合、手術の治癒率は90.7%ですが、抗生剤の治癒率は56.4%。治療を選択する際は、こうした数字を踏まえて考えることが必要です」(前出・森氏)

 症状によっても治癒率は異なるので、医師に確認したい。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は「自身の事情を考慮して治療法を決めたい」と言う。

「治療にいくらかかるといった経済的な事情のほかにも、手術後のQOL(生活の質)が不安だったり、単純に家を空けられないから入院できないなど、患者の事情は様々です。そうした事情を医師にきちんと伝えた上で、相談して決めるのがベターでしょう」

※週刊ポスト2020年6月26日号

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