企業が知るべきiDeCoの正しい利用法、真の「日本版401k」とは
● iDeCoを活用した 「iDeCoプラス」とは? 個人型確定拠出年金が始まったのは2001年10月だから、もう20年近くになる。2020年末時点の加入者数は181万人強だが、この数字が大きく拡大してきたのはつい4年前の2017年からだ。iDeCoという愛称と共に加入対象者数が拡大することになった。また、2020年の5月29日に成立した法改正で、従来よりもさらに多くのサラリーマンが加入しやすくなったので、今後も加入者数は増え続けていくことが予想される。 そんなiDeCoの活用パターンのひとつとして「iDeCoプラス」という仕組みがある。これは個人が出す掛金に企業が上乗せをするという仕組みの制度である。iDeCoは言うまでもなく「“個人型”確定拠出年金」であるから、掛金を出すのはあくまでも個人であり、企業がその個人の資産形成を支援するために上乗せで掛金を出すというのがiDeCoプラスなのである。
● iDeCoプラス=日本版401k 確定拠出年金との違い 実を言うと、これは米国で生まれた確定拠出年金である「401kプラン」と非常によく似た形となっている。米国の401kプランは掛金を出すのはあくまでも従業員個人であり、会社がそれに対して福利厚生の一環として掛金を上乗せするというのが一般的だ。これをマッチング拠出という。 ところが日本の確定拠出年金は米国の401kプランとは全く似ても似つかない制度であり、元々は退職給付制度のひとつである企業年金の設計を確定給付型から確定拠出型へと変更したに過ぎない。 したがって、個人の自助努力による老後の資産形成を支援するという米401kと退職金の変形である日本の確定拠出年金とは、ある意味正反対の制度なのである。事実、日本で“マッチング拠出”といえば、企業が拠出する掛金に個人が上乗せする形だから、これもアメリカのマッチング拠出とは正反対だ。 にもかかわらず、当初は多くのマスメディアが確定拠出年金を「日本版401k」などと命名したものだから、制度に対する多くの誤解が生まれてしまった。したがって、あくまでも個人が掛金を出すのが基本でそれに会社が上乗せするiDeCoプラスこそ、日本版401kと言っても良いのかもしれない。