「営業時間はわずか3時間半」京都・佰食屋の“一日100食限定”が生まれたワケ
一日100食限定で、国産牛を贅沢に使ったステーキ丼を提供する「佰食屋(ひゃくしょくや)」。京都市内でランチタイムのみ営業し、ステーキ丼、ステーキ定食、ハンバーグ定食を合わせて100食売り切ったらのれんを下ろすという斬新な経営スタイルが注目を集めています。「100食限定」のキャッチコピーに加え、国産牛をリーズナブルな価格で提供するコストパフォーマンスが支持されるとともに、短時間営業でロスを出さずに売り切る仕組みは従業員の満足度も高めています。 【画像】佰食屋の看板メニューの国産牛ステーキ丼(写真7枚) 長時間労働や深夜営業のイメージが強い飲食業界で、なぜこのような経営手法に行き着いたのでしょうか。また、オープンから10年が経っても行列が絶えない美味しさの秘密は。代表取締役の中村朱美さんにお話をうかがいました。
営業はわずか3時間半「早く売れば早く帰れる」
── 2012年に「一日100食限定」をキャッチフレーズに佰食屋をオープンしました。前例がほぼないコンセプトを思いついた背景はなんでしょうか? 中村さん: 佰食屋を始める前は、私も夫も普通のサラリーマンとして働いていました。夫は不動産業の営業マンで、私は教育分野の広報と営業に近いような仕事もしていて。営業の仕事って、目標やノルマを達成すれば給料が上がったり、自分の意見を通せたりとインセンティブを感じやすいんですよね。 その一方で、飲食業界は慢性的な人手不足や長時間労働のイメージが根強いですし、普段の倍くらい忙しい土日や大型連休中に出勤したとしても、それに見合う給料がもらえるわけでもない。どれだけ頑張っても対価を得にくいことで、働いている人のやる気をものすごく削いでしまうんじゃないかと思ったんです。 飲食店でもインセンティブのような「頑張った分だけ自分に返ってくる仕組み」を作りたい。そこで思いついたのが、「一日100食限定」という上限でした。一日の食数を決めれば、早く売り切れたら早く帰宅できるし、無理なく働ける。営業マンのインセンティブに最も近づけると思ったのが、コンセプトの由来です。 ── メニューや営業形態について教えてください。 中村さん: メニューは国産牛のステーキ丼、国産牛おろしポン酢ステーキ定食、国産牛100%のハンバーグ定食のみ。税込み1100円(ステーキ定食のみ1210円)で提供しています。営業時間は午前11時から午後2時半までですが、合わせて100食を売りきった時点で、その日の営業はおしまいです。スタッフはだいたい午前9時から9時半の間に出勤して、遅くとも午後17時45には退勤できます。