Bluetooth最新事情を詳報、LE Audio LC3・Auracast・高精度測距について聞いてきた東京セミナー2024
なお、将来のBluetoothでは通信速度が大きく上がることが計画されており、それに伴いハイレゾオーディオへの対応も議論に入っています。LC3の拡張規格LC3plusは日本オーディオ協会がライセンスしている「Hi-Res AUDIO WIRELESS」の認定を受けています(先に上げたコーデックではaptX AdaptiveとLDACがサンプリング周波数96kHz、量子化ビット数24bitに対応しており、これらも認定を受けています)。 Bluetoothのコア規格は今後さらなる速度向上や新しい周波数帯での利用も検討されているため、今後は有線接続に匹敵する製品となるでしょうし、LC3plusはさらにブロックサイズを減らして遅延もさらに減るようです。 ただし、評価機として使用しているGoogle Pixel8ProのAndroid14でもLC3は試験運用中の段階で、LE Audioが一般的になるのはもうちょっと先の話と言えるでしょう。一方で、Bluetooth LEは現時点で音声認識、電話帳やメッセージ表示などが非対応です。このため、現在車載機器などでのLE Audioが難しく、LE Audioの移行を進めるにはさらに標準化の作業が必要です。
■マイデバイスでAuracastが体験可能に! Bluetoothのオーディオ接続は1:1接続が基本ですが、1:nと多数への同時接続を可能にしたLE AudioのブランドがAuracastです。Auracastは複数のデバイスに同時に配信を行う事ができるため、友達との音楽のシェア、公共交通機関や講演会での多言語アナウンスなど多くの利用が想定されています。 複数のTVモニターで別の番組を流している環境下で好きな画面の音声を聞くという使い方や会場には音が流れていないのにオーディエンスはヘッドフォンから音楽が聴け、ノリノリで盛り上がっている「サイレントディスコ」のようなユースケースもあります。公共利用では配信チャネルを選択しての利用になりますが、友人とのシェアなど秘匿性が必要な接続の場合はパスワード保護を掛ける事もできます。 Auracastは2022年6月に発表され、日本ではCEATEC 2023で初お披露目。当時は開発中の専用デバイスを使用していましたが、現在はいくつかの市販製品でもAuracastが利用可能になっています。今回のBluetooth東京セミナー2024では説明コーナーのほか、対応デバイスを持っていれば試験的に講演音声を会場で聞くことが可能でした。