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3人死亡、平戸の沈没事故から3年 引き揚げ見通し立たず…原因解明は困難に

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西日本新聞

 乗組員3人が死亡した平戸沖の海砂運搬船沈没事故から3年が経過した。船の所有会社に引き揚げの義務はなく、事故原因の究明に必要な船体は海底に眠ったまま。漁への影響を懸念する近隣の漁協は引き揚げを求めているが、実現の見通しは立っていない。  事故は2017年8月22日未明、平戸市沖で発生した。海砂を積んだ台船(約1300トン)と押し船(98トン)が、海砂から塩分を取り除く作業中に沈没した。国土交通省運輸安全委員会の調査報告書によると、台船内で漏れた除塩水が船首の右舷にたまって船体が傾き、海水が流入したとみられる。  報告書は、事故前日に漏水を把握していた乗組員がいたことや、船体の安全管理に不備があった可能性を指摘。一方で「船は引き揚げられておらず、船の傾斜から沈没に至る経緯の詳細を明らかにすることはできなかった」と結論づけた。

 引き揚げを求める声は少なくない。佐世保、平戸両市議会は19年3月、船を所有する葵新建設(長崎市)に引き揚げの指導を求める意見書を国交省などに提出した。九十九島漁協(佐世保市)は同社に引き揚げを求める仮処分を長崎地裁に申請し、高裁まで争ったが棄却された。  海洋汚染防止法は技術的に困難な場合を除き、船舶を海洋投棄することを禁じている。佐世保海上保安部は平戸沖に沈む2隻について「技術的に困難な場合に当たらない」とする国交省の見解を確認。今年5月、同社と社長を同法違反容疑で書類送検した。引き揚げにつながる期待もあったが、長崎区検は7月に不起訴処分とした。海上保安部は業務上過失致死容疑でも同社を調べている。  漁協関係者は、沈没船に残る油が漁場を汚染する恐れがあると懸念している。県北の10漁協は区検の不起訴処分を不服として審査を申し立てたが、長崎検察審査会は「不起訴相当」と8月28日付で議決した。議決は同社について「引き揚げを行うことは経済的にも困難であると認められ、環境への悪影響を排除する作業を行った」としている。  事故原因の解明は困難な状況だ。  (岩佐遼介)

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