八村塁はいつ復帰できるのか…そしてNBA”若手球宴”出場の可能性は?
ブルックスHCは「ここでは、世界トップ級のアスリート達と戦う。(それができるようになるまで)プロセスをしっかり踏んでいかなければならない」と話した。 負傷した箇所だけでなく、負傷で体を動かせなかった間に弱った部分もすべて元に戻ったことを確認してからでなければ、復帰してもまた故障するリスクが高くなる。それだけに慎重だ。 ブルックスHCは、すべての動作を制限なしでできるようになったとはいえ、「体をぶつけあうようなプレーはコンディショニングが整い、本人がそういうプレーをすることに違和感がなくなるまではさせない」と話し、「(2月16日に開催される)オールスター戦までに戻ることを望んでいるが、これまでプレーしていなかったので急がせることはしない」とした。 オールスターまでの復帰を望むのは、おそらく八村も同じだろう。 それは、まず本人が「一刻も早く戻ってチームを助けたい」と話していたように、故障者続出で成績もなかなか伸びないチームの力になりたいという思いが募っているからだ。開幕から次々と故障で選手が離脱していく中で自らも戦っていたが、「僕もその一人になってしまった」と悔しさを隠せない様子だった。 そしてオールスター戦の2日前に1年目と2年目の中から選ばれた選手で戦う「ライジングスターズ」への出場。無論本人にとっては、ウィザーズを助けることが何よりも大切なことであり、オールスター戦の前座となる同イベントのために復帰を急ぐことはないが、もしもそれまでに復帰でき、なおかつ将来のスターと見込まれた若手のオールスターでプレー出来れば、それは一つのステップとなるはずだ。
八村は各チームのアシスタントコーチの投票(投票用紙は各チーム一枚)で決まる同メンバーに選ばれるのにふさわしい成績だが、故障期間が長いことや復帰時期が分からないことから以前より微妙な立場になったことは否めない。 オールスター前のウィザーズの最後の試合は2月12日。この試合が終われば次の試合は21日までないため、復帰がギリギリになるようならば、オールスター明けまで待つことも考えられるし、選ばれてもプレーしない可能性もある。 自らもNBAで10年のキャリアを送ったブルックスHCは、「15年のキャリアで考えると6-7週間(戦線離脱すること)など、大したことではない」と話した。 またウィザーズ最年長で今季13年目のイアン・マヒンミに開幕から6週間余りという長期間故障欠場した時のことを聞くと、「自分は“たった”6週間しか休んでいない。長くはないよ」という返事だった。 そして、「自分はベテランだから、欠場している間に焦る必要もプレッシャーを感じる必要もないということが分かっている。自分のやるべきルーティンを持つこと。いいサポーティングシステムの中で信頼できる人達とともに故障と向き合うことだ。もちろん辛いことはある。でもその中で自分が出来るベストを尽くせばいい」と話した。 マヒンミはウィザーズと契約した2016年のシーズン前に左膝を故障。シーズン15試合目に復帰したが、その試合で同故障を悪化させて再度戦列を離れ、シーズン2試合目を戦ったのが2月8日だった。今季は右アキレス腱を痛めて12月初めまで欠場したが、復帰後はウィザーズ移籍後ベストシーズンを送っている。 ゴンザガ大での2年生以降は全試合に出場していた八村にとって、今回は初めてぶつかった故障の壁だ。それを将来、「あの時があったからこそわかる」という経験に変えていくことが、今の課題なのかもしれない。 (文責・山脇明子/米国在住スポーツライター)