2021年に宮澤ミシェルが期待する東京五輪世代の選手【第3回:田中碧】「新しいタイプの日本人ボランチ像をつくってくれる気がする」
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第184回。 現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。 今回も、宮澤ミシェルが注目する東京五輪世代のサッカー選手を紹介する特別編をお届け。第3回目に紹介するのは、川崎フロンターレに所属する田中碧(たなか・あお)。宮澤ミシェルは、ボランチとして大きな成長を遂げている田中碧に期待を寄せているという。 ***** リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドのように得点をバンバン決められるストライカーは目立つけれど、いざチームをつくっていこうとなったら、最初に考えるのは攻撃も守備もできる選手だと思うんだよな。こういう選手がいれば、メンバーは組みやすくなるからね。 東京五輪世代でそうした存在として期待しているのが、田中碧だよ。 同世代には冨安健洋がいて、攻撃的なMFには堂安律や久保建英がいるから、どうしても彼らに目が向いてしまうことが多い。だけど、この世代の攻守の要と言えるほどの成長を、田中碧は遂げていると思うよ。 日本代表に限らず、東京五輪世代にも海外リーグのクラブに所属する選手が増えているなかで、田中碧はJリーグだからね。そこも応援したくなるところだよな。 とはいえ、田中碧はJ1王者の川崎フロンターレでバリバリのレギュラーとして試合に出ている選手だからね。高いレベルの選手たちに囲まれているから、ズバ抜けた存在にはなかなかなりにくいけれど、仮にほかのチームでプレーしていたら、圧倒的な存在になっていると思うよ。それだけのプレーを川崎Fで見せているからね。 それに海外組だからといって、全員が川崎Fでレギュラーになれるかといったら、そうじゃない。だからこそ、田中碧があの川崎Fでコンスタントに試合に出ているっていうのは相当のもんなんだよ。そこをちゃんと見てあげないとダメだよな。 田中碧は足元のテクニックはあるし、見た目がシュッとした顔立ちをしているから、スマートなプレーをする選手かと思っちゃうんだけど、それだけじゃないんだよ。 泥臭いプレーを厭(いと)わないし、インテンシティーの強度も高い。必要とあれば無骨なファイターにもなれるってのが、ボランチとしてはやっぱり重要なポイントだよ。
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