ミッション系中学サンデーショックが再来する26年度入試と、「1人1台顕微鏡」の東洋英和・「全員がフランス語」の雙葉
■カトリックの人間観を教育の基盤とする雙葉中学校
1872年に、今の「幼きイエス会」がフランス語を教える学校を横浜に開設したことが雙葉の始まりです。1875年に築地明石町(現在の東京都中央区明石町)に「築地語学校」を設立しました。1909年に「雙葉高等女学校」を開校し、10年に現在の四谷の地に移転しました。第2次大戦中は校舎が全焼するなど苦難もありましたが、47年に小学校、中学校が発足。同年に幼稚園も再開しました。48年には高等学校も発足し、現在の姿になりました。 初代校長のメール・セン・テレーズは、「私は、フランス文化や宗教を広めるため日本に来たのではありません。品位ある日本婦人を教育するために来たのです」と述べています。 雙葉の教育の基盤はカトリックの人間観です。その人間観は「かけがえのない自分」「一人ひとりを大切に」「自分の使命に気づく」というものです。生徒には「一人ひとりを大切に。人と比べる必要はない。自分らしさを伸ばしましょう」と伝えています。 雙葉学園は幼稚園が40人、小学校が80人、中学校・高等学校が180人です。小学校から内部進学する生徒が約80人、中学受験で入学する生徒が約100人ですが、すぐに仲良くなるようです。 雙葉の教育は、「知育・徳育・体育」のバランスを大切にしています。「知育」の面では自学自習できるように指導しています。中学校では基礎学力を身に付け、家庭学習がきちんとできるように面倒見よく対応しています。また、ノートをとることを重視し、テストの間違い直しノート、読書ノート、問題集ノート、実験ノートなどさまざまなノートを用意しています。週6日制で、平日6時間、土曜日も4時間の授業があります。完全中高一貫校ですので、効率的なカリキュラムが組まれています。 英語では、学園創立当初からネイティブによる授業を実施しています。中3ではさらにフランス語を全員が学び、フランス文化に触れます。高校課程でもフランス語の学習が可能で、フランス語を第1外国語、英語を第2外国語として学習することも可能です。 理科の授業は実験・実習が多く、物理・化学・生物・地学の実験室があり、施設も整っています。 「徳育」では、週に1時間「宗教」の授業があります。宗教の時間はじっくり考える時間と位置付け、社会に広く目を向けて、キリスト教の価値観に基づいて、すべての人を大切にする心を育みます。国内外の施設との交流やボランティア活動(赤い羽根共同募金など)も盛んです。 「体育」も大切にされており、教員チームも参加する校内球技大会ではバレーボール、バスケットボール、卓球が実施されます。外部の体育館を利用する運動会では学年全体で実施するダンスなどの競技が盛り上がるようです。クラブ活動は全員必修で、約40のクラブがあります。リーダーシップを発揮したり、コミュニケーション力を身に付けたり、さまざまな効用があります。 1学年が約180人の比較的小規模な学校で、文系・理系はほぼ半々です。クラスは文理分けせず数多くの選択科目で大学受験に対応しています。卒業生の話を聞く会や各種の講演会も、生徒それぞれが進路を決める参考として開催されます。 雙葉の校舎は、JR/地下鉄「四ツ谷駅」からほど近い地上7階建てです。どのエリアからも交通は至便です。最上階は図書館で、被服室や音楽室、調理室、書道室も備えます。そしてキリスト教校ですので、聖堂があり、敷地内には「幼きイエス会」の教会もあります。カトリック校ではキリスト教の行事が大切にされていますが、実はそれほど宗教色が濃くない学校が多いです。キリスト教の教えに基づいた教育で、校内にはマリア像などもありますが、普段はあまりキリスト教を意識しない生徒も多いようです。 校舎見学会、文化祭などの行事で実際の雙葉生と接してみると同校の様子がよく分かると思います。受験校決定にあたりましては、ぜひ外部公開の行事に参加していただきたいと思います。
広野雅明