ミッション系中学サンデーショックが再来する26年度入試と、「1人1台顕微鏡」の東洋英和・「全員がフランス語」の雙葉
■2026年度入試は「サンデーショック」の再来
2026年度は2月1日が日曜日であり、俗に「サンデーショック」と言われる入試年になります。前回の「サンデーショック」は15年で、女子学院、東洋英和、立教女学院、フェリス女学院、横浜共立学園など、主にプロテスタント校が2月1日から2日に入試日を移動させました。その結果、2月1日に桜蔭や雙葉を受験して、2日に女子学院やフェリス女学院を受験するような併願が可能になりました。 26年度も、フェリス女学院が2月1日のまま入試を実施するのを除き、他のプロテスタント校は2月2日に入試日を移動させます。ただし、カトリック校は日曜日でもそのまま入試を実施しますし、プロテスタント校でも男子校は入試日を動かしません。これらキリスト教校の中からプロテスタント校とカトリック校を1校ずつ紹介します。
■「敬神奉仕の実践者」を育てる東洋英和女学院
東洋英和女学院は、1884年にカナダ・メソジスト教会から派遣された婦人宣教師マーサ・J・カートメルによって、東京の麻布鳥居坂下に「東洋英和女学校」として設立されました。1889年に高等科を設置し、1902年に幼稚科と予科を合わせて小学校とし、14年に幼稚園を設立。28年には現在の標語「敬神奉仕」が定まりました。第2次大戦中は「東洋永和」と改称するなど苦難の歴史もありましたが、47年の新学制で幼稚園、小学校、中学部、高等部となり、50年には短期大学、89年には大学が開設され、2024年には創立140周年を迎えました。 東洋英和女学院は創立以来、他者のために、なすべきことを自ら考え、行動することができる人物を育てることを大切にしています。そのための教育として、キリスト教教育を土台とし、「国際性を養う(英語教育)」「タラント(神様に与えられた才能・能力)に気づく」「感性・教養を磨く(音楽・読書)」という三つの特色のある教育を行っています。 また、「自己理解」と「他者理解」を育む教育を重視しており、1937年から続いている宿泊行事「野尻キャンプ」では、長野県の野尻湖で、友人や先生と協力し合いながら、プログラムを遂行しています。奉仕活動では、1904年に「永坂孤女院」を訪れた記録があり、現在でも児童養護施設へ訪問する活動を実施しています。 中学部は、併設の小学部からの入学者が約80人、中学受験を経て入学する生徒が約120人です。そのため英語の学習は中1の入学時は別々に学習しますが、1学期の中間テストの後は同じ教室で学習します。英語への苦手意識をなくすため、授業ではオリジナルテキストを使用しています。学校生活など身近なことが題材となっていますので、生徒が理解しやすくなっています。英語の授業は週に6時間あり、中1はクラスを半分にした少人数制、中3からは進度に差をつけたグレード別で進みます。また、海外留学支援室があり、専門スタッフが留学に必要なアドバイスを行います。希望者はカナダ研修旅行、オーストラリア研修、短期留学などに参加できます。 数学の授業は中2では20人程度の少人数で実施され、授業中の小テストは合格するまで何回も続きます。中1・中2では、成績の思わしくない生徒に対して放課後に指名制補習があり、卒業生のチューターがついて個別で学習指導を行います。理科では年間50以上の実験を行い、1人1台の実体顕微鏡を完備しています。各科目でクロームブックを活用したICT教育を推進していて、ICT支援室には専門の職員が常駐し、機器のトラブルに対応しています。 キリスト教の学校ですので、奉仕活動にも力を入れています。中1の「ディアコニア(隣人に仕える)」では、年に7、8回、車椅子や点字体験など、奉仕に必要な知識と技術を身に付けます。約30年前から継続しており、やってあげるのではなく、互いに補い合うことを学びます。 アジアの国々について生徒が主体的に調査・学習するTEAM(Toyo Eiwa Activities for Myanmer)、「一杯のコーヒーから始めるSDGs(持続可能な開発目標)」をスローガンに遠く離れたコーヒー農園の人々とつながり、コーヒーを通じてSDGsに貢献することを目指す「コーヒープロジェクト」(東洋英和オリジナルコーヒーをホームページで販売中)などもあります。 東洋英和の学校説明会は、パイプオルガンの厳かな音色から始まります。そして毎朝の授業は礼拝から始まります。東京都心の六本木駅や麻布十番駅からほど近い場所ですが、近隣は緑豊かで静寂な地です。ご興味を持たれた方はぜひ一度ご訪問いただき、受験校の一つとしてご検討ください。