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窮地の山小屋に救いの手 クラウドファンディング活況

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産経新聞

 登山の際に宿泊やトイレなどに利用される山小屋。新型コロナウイルスの影響で、経営が逼迫(ひっぱく)する山小屋を支援するインターネット上の資金調達「クラウドファンディング(CF)」が盛況だ。登山愛好家の著名人ら約6千人が賛同し、開始1カ月で目標の約19倍となる約5700万円の支援金が集まった。コロナ禍で苦しむ書店や映画館など事業者を支援する「基金型」のCFも続々と誕生している。(岡野祐己)  例年なら登山客でにぎわう山小屋も、新型コロナの影響で閑古鳥が鳴いた。このため、山岳雑誌などを発行する「山と渓谷社」(東京)は5月中旬、「山小屋エイド基金」と題するCFを始めた。  3カ月間の寄付の目標は300万円。支援金の受け取りを希望する山小屋を募り、約100軒に3万円ずつ配る予定だったが、募集開始の初日に早くも300万円を突破。ミュージシャンの藤巻亮太さんや俳優の工藤夕貴さんら登山愛好家の著名人らも趣旨に賛同。1カ月で約6千人から計5700万円が集まり、今も寄せられている。山と渓谷社でCF担当の阪辻秀生さんは「想定外の数字。山小屋は宿泊や休憩だけでなく、スタッフは登山道の整備、遭難者の捜索活動にも携わる。そうした役割を知るみなさんの思いがこの結果につながったのでは」と驚いている。  ■善意に感謝  山梨と長野の県境にある大弛(おおだるみ)峠で営業する「大弛小屋」。主に首都圏から年間約400人が宿泊に訪れる人気の山小屋だ。5月の大型連休から休業に追い込まれたが、6月1日に営業を再開した。現在は小屋の中をカーテンで仕切り、宿泊客は通常の半分以下となる1日最大10人に限定。経費を差し引けば、今年の売り上げはほぼゼロだという。徐々に予約は入ってきているが、責任者の小林大亮さん(46)は「今年は登山を控える人が多いと思う。でも、壊れたストーブの修理など支援金は目に見える形で活用したい」と感謝の思いを口にする。  神奈川県の丹沢山にある「木ノ又小屋」も宿泊の最大人数を10人に半減して営業を再開する。オーナーの神野雅幸さん(56)は「マスクや消毒液を購入し、安心して利用できるようにしたい」と話す。  ■「基金型」CF増加  山小屋に限らず、コロナ禍で経営が逼迫する事業者を支援する「基金型」のCFは増えている。  全国の小規模映画館を支援する「ミニシアター・エイド基金」が始まったのは4月13日。3日間で目標の1億円に到達。最終的に約2万9千人が計約3億3千万円を寄付した。  CFを運営する「MotionGallery(モーションギャラリー)」(東京)によると、CFは個人の目標を実現させるための内容が多いが、4月ごろから書店や小劇場などコロナ禍で苦しむ事業者を支援するものが増えているという。同社では、新型コロナ支援のCFでは手数料を受け取らず、決済を行うカード会社にのみ売り上げの5%を支払う制度を導入した。モーションギャラリーの担当者は「文化や芸術をコロナから守りたいという善意をサポートしていきたい」と話している。

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