もうひとつのパンデミック。それは、女性に対する性暴力
11月25日は、「女性に対する暴力撤廃の国際デー」。残念ながら、まだまだ日本では知られていない取り組みです。今回のコラムでは、より広い皆さんに関心を持っていただけるよう、海外で展開されているキャンペーンの事例や、日本における意外な事実、そしてこれから行われるキャンペーンなどをご紹介します。
もう一つのグローバルパンデミック
みなさんはご存知でしたか? いまだに世界の3人に1人の女性は生涯一度は身体的・性的暴力を経験していると言うことを。女性に対する肉体的・性的・心理的・経済的などあらゆる形態の暴力の徹底に取り組むために、国連は1999年に「女性に対する暴力徹底国際デー」を規定しました。(*女性に対する暴力とは、女性であることを根拠に行われる暴力のこと。)
さらに、2018年には、第9代国連事務総長の アントニオ・グテーレスが女性と女児を対象とする暴力を「グローバルパンデミック」と表現し、「すべての社会における恥の印」と批判しました。今年コロナが流行るずっと前からも、私たちの近くにはパンデミックがいつも存在していたのです。
#MeTooで自分の周りにも目を向けるように
被害があってもなかなかオープンにできない。そんな密かに存在・隠ぺいされていたものが、少しずつさらけ出されるようになりました。そのきっかけはみなさんもご存知の#MeTooムーブメント。
3年前、ハリウッドの女優・アリッサ・ミラノなどが自分のTwitterにセクハラや性的暴力を告発し、他の被害者にも声を上げようと呼びかけた#MeToo投稿をはじめ、世界中の女性たちが、性暴力を許さない、被害を黙らない、問題を明らかにする世の中へと少しずつ働きかけていくようになりました。
海外の事例1:スコットランド
今年7月には、英スコットランドにある長い歴史を誇る名門大学セントアンドルーズ大学で、キャンパス内で性暴力やレイプの被害に遭ったと告発する投稿が20件以上寄せられました。さらに、その加害者たちは同じ大学の学生であると言うのです。これを受けて、大学では、声を上げた女性らに対するカウンセリングや学校や警察に対する被害届の支援などの援助をするとともに、このような問題について来年度からは必須のオリエンテーションを導入するといった方針を打ち出しました。