緊急事態宣言は必要ですか? 増え続ける新型コロナ感染者に最後の切り札を切るべきか
正月休みが一つのタイミング
ーー緊急事態宣言を発出するとしたら年内も考えられますか? 私は、どこかのタイミングでカードを切って冬場でも感染者が減ることを日本として経験しておくのも一つの選択肢だと考えています。 つまり、感染者を、冬でも減らせるという成功体験を積んでおくことは、将来本当に困った際にも希望になるとも思います。もちろん、緊急事態宣言なく感染者を減らすということを諦めているわけではありません。 また、緊急事態宣言を出したとしても、感染者の速やかな減少に成功するかどうかはわかりません。市民の協力によります。 また、経済への影響は大きいです。しかし、経済にとっても、生活にとっても、医療にとっても、感染拡大を抑えることは必要です。経済界はどう考えているのでしょう? ぜひ意見を発信していただきたい。 ワクチンが導入されるかもしれない期待はあるわけですが、結局、この冬にズタズタになり感染者や死亡者が増えると、来年の冬も早くから厳しい対策を取らざるを得なくなります。「去年の冬を見ろ。あんなにひどかったじゃないか」と警戒しなくてはならなくなります。 そうすると、来年も「また帰省できない」という事態にもなり得ます。 ーーとはいえ、今すぐに厳しい行動制限を課すことは難しいのでは? 政府は年末年始のGo Toトラベル事業を全国一斉に止めましたね(12月28日から1月11日まで)。Go Toを止めたということは帰省もしないでくれということです。そこに乗っかって、接触機会を減らして、一気に感染者を減らすのは悪い話ではありません。 そうするとまた、Go Toも含めて徐々に再開ができます。 ただ、その効果が出て感染者が減るのは2~3週間後。そうすると、効果が出てくるのは早くて1月の10日頃からです。そこまで医療従事者はお正月も関係なく、重症者を診ているところは休まず働いてくれという話が成り立つかどうかはわからない。 むしろ成り立たないと思っているから、強めの啓発をしてきたつもりです。これについて、国民や政治や市民はどう考えるのでしょう。 ――しかし、これ以上、経済が冷え込めば、家や職を失ったり、鬱になって自殺者が増えることも強く懸念されています。強い財政的な手当がセットで必要では? そうです。飲食店でもこの年末に賭けていたというところもあると聞いています。経済や福祉の専門家にも対策などについて発信をしていただきたいです。 ただ、長引けば長引くほど経済や雇用への影響は大きいですし、感染が収まるまでにより長い期間の対策が必要になります。どちらが経済や雇用にとって中長期で影響が少ないかの議論は必要です。 Go toも1月11日まで全国で止めるようですが、ステージ2という状況にまで感染を抑えることはこのペースでは到底間に合わない。そうするとまた延長ということもあり得るのではないでしょうか。