緊急事態宣言は必要ですか? 増え続ける新型コロナ感染者に最後の切り札を切るべきか
「勝負の3週間」が過ぎた後も、新型コロナウイルスの感染者は増え続けています。これまで、感染リスクの高い飲食や近い距離でのおしゃべりを避けるなど個人でできる努力を徹底しようと呼びかけてきた国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授の和田耕治さんが、緊急事態宣言の必要性やそのあり方について語り始めました。事態はいよいよ緊迫しています。【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】
緊急事態宣言必要か?
――先生が政府による「緊急事態宣言」の可能性を語り始めているのがショックです。必要ですか? 何を目標とするかですが、今は感染者を減らすということに重きを置くべき時です。 自治体の呼びかけや介入によっても特に東京では人の流れが減っていない。感染者も減っていない。人々の行動を大きく変えるにはさらに強いメッセージが必要です。 また医療の逼迫を放置して、医療崩壊を経験することは避けるべきです。 そうすると、緊急事態宣言は一つの選択肢として検討や議論をすべき時期にあると個人的には考えています。 流行の長期化を避けるという意味もありますし、年末というタイミングを活用できるという意味で今、議論をすべきです。ただ宣言が出る出ないが問題ではなく、戦略や準備、そして市民の合意形成が必要です。 ーー「勝負の3週間」が空振りに終わったのはなぜでしょう。 「勝負の3週間」の反省は何かと言えば、ダブルメッセージは伝わらなかったということだと考えています。 新型コロナウイルス感染症対策分科会は11月20日に「夜間や酒類を提供する飲食店への外出自粛を要請して頂きたい」という提言を出しました。東京都は11月25日に会食時の注意事項「5つの小」などを出しました。 その一方で、Go To事業などで旅行や飲食は容認されていました。 ーー異なる二つのメッセージを発してはダメだということですね。どんなメッセージですか? つまり、片方では感染リスクの行動をやめてくださいと言いながら、片方では「ここに気をつけるならいいですよ」というメッセージを発していました。受け手にとってはわかりにくいですよね。 例えば飲食でも、4人までならいいけれど、大人数はダメというメッセージはわかりにくい。 もちろん、事業者に配慮してのことであることはわかるのですが、結局、効果は限定的になり、それだけ感染拡大が長期化します。せっかく自粛しても成果を感じにくくなります。