「クールな何かをやることよ」テニス界を超えたオピニオンリーダー、大坂なおみが目指すもの〈SMASH〉
“女子テニス界の顔”―― それは時代が大坂なおみに求め、彼女自身も世の流れに掉さし至った、一つのマイルストーンでもあるだろう。 【PHOTO】黒人差別撤廃を訴えつつ優勝した2020全米オープン、大坂なおみスナップ集 昨年夏、コロナ過による約5か月間の中断期間が明けツアーが再開した時、自身の変化を問われた大坂は、「以前よりも、自分を周囲にさらけ出すようにした。すると周囲の人たちも、本音で向き合い話してくれることがわかった」と即答した。 ファッションや音楽など様々な舞台のトップランナーたちと親交を持ち、黒人への差別廃絶を訴える運動に参加したことも、その一環だろう。ソーシャルメディアを介して問題意識の喚起を訴え、「アスリートは政治的発言や行動をすべきでない」という声や風潮に対しても、「私はそうは思わない」と旗幟を鮮明にした。 昨夏のUSオープンでも、警官の射撃等による犠牲者の名が入ったマスクを7枚用意し、それら全てを世に示したのは記憶に新しいだろう。最終的にUSオープンを制したことで、彼女はテニス選手の枠をも軽々と超え、若者の、あるいは女性のオピニオンリーダー的な名声をも獲得した。 それら高まる注視や発言力に伴い、幼少期から憧れた先達がそうであるように、大坂もまたファッションや他競技、そしてチャリティなどにも力を注ぐようになる。 ユニセフへの寄付を前提としたオリジナルマスク販売や、ルイ・ヴィトンのブランドアンバサダー就任。さらにはアメリカ女子サッカーリーグ(NWSL)の強豪チーム、ノース・カロライナ・カレッジの共同オーナーにも就任した。 「今の私が在るのは、私の成長に寄与してくれた女性たちのおかげです。多くの女性アスリートから受け取ってきた愛情を、今、オーナーとしてノース・カロライナ・カレッジに還元できることを誇りに思います」 新たなフィールドに踏み出した理由を、大坂はそう綴っている。またいちアスリートとしても、サッカー選手たちと一緒に練習できる日を「すごく楽しみ。他競技をプレーし、自分よりも優れた部分を多く持っている人たちと練習するのは好きだから」と心待ちにしている様子だ。