「日本の水際対策はこれが限界」新型コロナ変異型で感染再拡大の恐れも…個人ができる対策は?
東京都の新型コロナウイルス新規感染者数の減少が鈍化しているままだ。 厚生労働省は12日、“フィリピン型”の変異ウイルスが国内で初めて確認されたと発表した。感染者は、先月26日にフィリピンから成田空港に到着した男性だ。 【映像】変異型ウイルス致死率は従来型の約1.6倍 感染防止に私たちができる“3つの対策”(14分ごろ~) これまで確認されているイギリス型、南アフリカ型、ブラジル型と同程度の感染力があるとみられているフィリピン型の変異ウイルス。東京都医師会の猪口正孝副会長は「今後、変異株等により急激に再拡大する可能性がある」と見解を示し、感染症対策分科会の尾身茂会長も「変異株が、いわゆる既存株に置き換わるプロセスも始まっている」と近いうちに変異型ウイルスが主流になる可能性を示唆している。 はたして変異型ウイルスにワクチンは効くのだろうか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、感染拡大を防ぐために今できることは何か、専門家と共に探った。
京都大学ウイルス・再生医科学研究所特定助教で厚生省クラスター対策班の古瀬祐気氏は「フィリピン型はまだ情報が少ない」と話す。 「元々フィリピン型はブラジルで感染が見られていた。ブラジルである特定の変異が起こり、それにまた別の変異型が足されたものがブラジル型だ。フィリピン型は、ブラジル型になる前のウイルスがフィリピンに行って、フィリピンでブラジルと全く同じ変異が足された。これが今回日本で見つかったフィリピン型で、ブラジル型と同じような性質を持っているのではないかと想像している」 今回感染が発覚した男性以外にも、フィリピン型の感染者が出る可能性はあるのだろうか。古瀬氏は「フィリピン型は、検疫でしか見つかってない。市中には入ってない可能性が高いと思う」と述べる。 「新型コロナウイルス自体が“オーバーディスパージョン”と言って、8割の感染者は誰にもうつさないが、残り2割の人が8割の人にうつしていく性質がある。この差が広いウイルスは絶滅確率も高い。誰にもうつさない人が多いので、1回入ってきたところで『ここまでは繋がってうつってしまったが、この人で終わった』が約92%の確率で起こると言われている」 「今回一人目の感染が見つかったらといって、もう感染が広がるしかないという状況にはならない。ちょっと時の運みたいなもので、確率論としては10回入ってきても、おそらく広がることはない」 古瀬氏の話を聞いたひろゆき氏は「フィリピン株は広まらない可能性があっても、市中にあるイギリス株などが都道府県をまたいで広まっている。そうなると無理なのではないか」と指摘。これに古瀬氏は「割合を見ると、かなり広がっていると思う。これが絶滅確率に基づいてゼロになる可能性はかなり低いだろう。尾身会長が言われているようにこれから広がる可能性が高い」と答えた。 日本でも医療従事者を中心に接種が始まっている新型コロナワクチン。変異型にはどれくらいの効果があるのだろうか。 古瀬氏は「公衆衛生的にわかっていることと、実験的にわかっていることが少し違う」とした上で「ワクチンはいくつか種類があるが、今まさにジョンソン・エンド・ジョンソンとノババックスが治験をやっている。その結果を見ると、変異株ではないウイルスには9割程度の効果で、変異株では6割程度しかワクチンで予防できなかった。でも、6割程度は予防できるので、有効であることは間違いないとみている」とコメント。 また、現時点で広く使われているファイザー社のワクチンでは「治験時にまだ変異株が存在していなかった」といい、効果は「わからない」とした。 ひろゆき氏は「海外では効かないワクチンが出てきている」と指摘。「南アフリカでは、アストラゼネカ社のワクチンを打つことをやめた。南アフリカ変異株に関しては、効果がなかったのではないか」と質問した。ひろゆき氏の質問に古瀬氏は「全てが効かないわけではない」とした上で「確かに、アストラゼネカ社のワクチンは南アフリカ変異株においては、効かなかった」と明かした。 今後は、それぞれの変異株に効くワクチンを何種類か打つ、もしくは混合ワクチンのようなものになっていく可能性も有り得る。