熊本市電「上下分離」1年遅れる見通し…重大インシデント含むトラブル続発14件
熊本市の大西一史市長は22日、熊本市電(路面電車)で来年4月に予定していた「上下分離方式」への移行を延期すると明らかにした。市電では今年に入り、事故につながりかねない「重大インシデント」を含むトラブルが14件起きている。大西市長は安全管理体制の再構築を図る必要があるとして、移行が1年近く遅れるとの見通しを示した。 【写真】熊本市電の新型車両
市電は現在、市交通局が運行しているが、移行後は、車両や施設を引き続き市が所有し、運行は市が出資する一般財団法人が担う。民間への移行で職員の待遇改善が可能となり、課題だった人材の確保や育成、業務負担の改善を推進する計画だった。
しかし、市電では今年1月以降、ドアを開けたまま走行する重大インシデントなどトラブルが続発。7月には車両が脱線する重大事故も起き、国土交通省九州運輸局が9月、市交通局に管理体制の見直しを求める改善指示を出した。11月にも赤信号で交差点に進入する事案が2件続いた。
大西市長は22日の記者会見で、トラブル続発を受けて設置した検証委員会が年内にまとめる報告なども踏まえ、上下分離方式への移行計画を見直すとした。