「26時間連続で撮影も」奈美悦子がアイドルの言葉さえない時代に経験した充実感と「寝台車に乗れる喜び」
主演の文五役は杉良太郎さん。杉さんは歌手としてはすでにヒット曲があったけれど、役者になりたいということで出演されたようです。共演者は東野英治郎さんや岸田今日子さんなど、すごい方ばかり。でも、当時の私は怖いもの知らずで、東野さんにタメ口をきいては、ディレクターさんたちが固まっていましたね(笑)。そんな私を東野さんはすごくかわいがってくださって、引退された後も私がテレビに出ると「悦子だ!」と言っていた、と奥さまから聞いたことがあります。
■アイドルの言葉さえない時代「26時間撮影することも」 ── 西野バレエ団では選抜メンバーとなり、絶大な人気を博します。 奈美さん:西野バレエ団のメンバーでユニットを組むことになり、金井克子さん、由美かおるさん、原田糸子さん、私の4人が選ばれました。『レ・ガールズ』というバラエティ番組がスタートし、私たちは西野バレエ団の4人娘『レ・ガールズ』として売り出しています。 『レ・ガールズ』は大人気で、40%もの高視聴率を打ち出しました。「アイドル」という言葉すらなかったころです。当時は若い女の子がミニスカートで歌って踊ることなんてなかったから、「まぁ、若いお嬢さんたちがミニスカートで踊っているわ」なんて言われていましたね。その後、キャンディーズが出てきて、そこからアイドルという言葉が使われ出すようになりました。
── アイドルの先駆けですね。奈美さん自身、世の注目をどう受け止めていましたか? 奈美さん:もう忙しすぎて、自分がどれくらい人気があるかもよくわかっていませんでした。ドラマで週に2回はNHKに行き、ロケも1日ありました。『レ・ガールズ』も週に2日はリハがあって、ダンスに音合わせ、顔合わせ、それでようやく本番です。本番も朝の7時に局に入って、翌日の朝8時、9時まで26時間近く撮影していました。30分番組ですよ。いまだったらありえないですよね。でも当時はそういう時代だったんです。