「26時間連続で撮影も」奈美悦子がアイドルの言葉さえない時代に経験した充実感と「寝台車に乗れる喜び」
無我夢中で過ごした日々は、どんな財産をその人に残すのでしょうか。奈美悦子さんは13歳からバレエ団に入り、踊りに歌にドラマにと多忙な毎日を過ごしました。いま振り返る、かけがえのない時間と残ったものについて聞きました。(全5回中の3回) 【写真】「べっぴんさん!キュートさ100%!」16歳の奈美悦子さんは破壊力抜群のかわいらしさだった ほか(全22枚)
■13歳でバレエ団へ「ドラマでは大御所にタメ口をきいて…」 ── 13歳のとき西野バレエ団に入団し、芸能界入り。バレエ団はオーディションを受けられたそうですね。 奈美さん:当時、西野バレエ団は金井克子さんというスターがいて、NHKの『歌のグランド・ショー』にバレエ団のメンバーが出演したりと、すごく注目を集めていたころでした。私がオーディションを受けたときは1500人の子たちが参加したと聞いています。
タレント志望の子たちが集まっていて、みんなすごく踊りもうまいし、歌もプロのようにうまい子ばかり。私は歌なんて習ったこともなければ、バレエを始めたのも遅くて、いちばん出来が悪かった。これはダメだと思ったけれど、たくさんいる女の子の中から、なぜか西野皓三先生が私を選んでくださって。たぶん先生は技術ではなく、感性で選んでくださったのだと思います。思いがけず、西野バレエ団の一員としてデビューすることになりました。
── 時を同じくして、NHKのドラマ『文五捕物絵図』で早くも女優デビューされています。当時の奈美さんは女優を目指していたのでしょうか? 奈美さん:私としては、やっぱり踊ったり歌ったりしたい気持ちがありました。そもそも西野バレエ団に入ったのも、そういう思いがあったから。それに当時の私はバリバリの関西弁で、「ドラマなんてムリとちゃいますか?」なんて言っていましたね(笑)。ドラマのオーディションのため、地元の関西から東京へ向かいました。まだ新幹線ができたばかりで、新幹線に乗せてもらえるというだけでうれしくて。だから出演が決まったときは、自分でも驚きでした。