相撲協会がえらい剣幕で抗議に来て…「小倉智昭」さんが語っていた「とくダネ!」最大のピンチ 一番警戒していた「ライバルキャスター」とは
会心の回は
相撲協会にしてみれば、厄介な相手を敵に回してしまったというところだろう。逆に、「会心の回」は何だったのだろか。 「僕らは生放送で仕事をやっていて、進行表通りに番組を進めてなんぼなんです。ただ、緊急事態が起こった場合、予定を全部飛ばして、『これで行け』ということが年に何回かあります。そういう時、僕とか笠井(信輔)くん、伊藤(利尋)くんとかは、もう急に力が入っちゃうんですよ。『よし! 出番がきた』とね。北朝鮮がミサイルを発射した模様、というニュースが放送開始の5分前に入ってきて、『これで行く!』となったことがありました。それから慌てて、みんなで資料を集めて、フリップを作ったり模型を持ってきたり、報道のほうから軍事に強い記者も呼んで。そうやって我々が持っている知識を寄せ集めて、ほとんど番組の全編、それで行った」 ところが番組の終わりのほうで、どうやらミサイルを打ち上げていなかったということが分かったという。 「だから最後に『今、情報が入って、打ち上げていないことが分かりました。いや、良かったですね』と。僕らの番組がそういうのをやると、数字が取れる。『とくダネ!』は災害とか事故が起こった時に特に強さを発揮して視聴率も取れて上の人は喜んでいたんですけど、我々は複雑でした」
命懸けの出演
降板するまでの最後の1年は、コロナ禍だった。 「これは取り上げ方が難しかったですね。お医者さんの言うことを聞けば飲食店などお店の人たちが困るし、店の言うことを聞けば、お医者さんが『これではいけない』と言う。その辺りのバランスの取り方がすごく難しかった」 コロナ禍での番組は、スタジオでの収録も制限された。 「僕は高齢者でがんもやったし、糖尿病もあるので重症化するリスクは高い。だから去年の緊急事態宣言の時には、司会の僕が外に出されたんですよ。僕がリモートで自宅の書斎から出演して、あの『額縁』の中に納まって。けれど外に置かれたらみんなの顔が見えないので、司会者として回していけない。目を見れば、『ああこの人、何か話したいんだな』というのが分かって話を振ることができます。それがね、外からの出演だと行き届かなかった。だから今年の(=2021年の)緊急事態宣言の時は、『俺は今度はイヤだよ』と、そこだけは強硬にプロデューサーに言いました。俺はここでやる、と」 命懸けで番組を務めたわけだ。