【宇垣美里】バイト帰りに京都御所を歩くのが日課だった。学生時代を振り返る
宇垣美里さんのエッセイ連載。今回は宇垣さんにとっての“特別な場所”をテーマに、感じることや思い出を綴っていただいています。学生時代に過ごしていた京都を振り返り、京都御所にまつわるエピソードを教えていただきました。毎週大好評のQ&Aもぜひチェックしてみてね。 >>オリジナル記事を読む! 【宇垣美里】バイト帰りに京都御所を歩くのが日課だった。学生時代を振り返る
第十五章 『特別な場所』(四)
京都で下宿していた学生時代、バイト帰りに京都御所の中を散歩することが日課だった。 繁華街である河原町でバイトした日は、危険な暑さの夏以外はいつも30分ほどかけて歩いて帰る。坂もなくまっすぐな碁盤目状の道が続くこの街では、大通りを選べば夜道も危険はなく、お金はないけど時間だけはたっぷりある大学生にとって散歩はぴったりの趣味。 今日は家に帰って何の映画を見ようか、どんな本を読もうか、明日の授業は何限からだっただろうか……そんなことを考えているうちに、御所へとたどり着く。 ここを抜ければすぐ私の家のある通り。
御所の中は人通りはないけれど、よくパトカーが巡回しているし、なんとなく守られている気がする、という安易な考えで、深夜だろうがなんだろうが気にせずるんるん歩いていた。 周りをぐるりと木々で囲まれたその地へ入ると、聞こえるのは自分の踏みしめた砂利の音と遠くで鳴く虫の声、そして葉ずれの音。 まるで世界で最後の一人になったみたいだ。 同じ月のはずなのに、御所の中で見る月の光は外よりずっと綺麗で優しくて、見ているだけで許されているような気持ちになった。 東京に住まう今は気軽に御所に行くことはできないから、代わりに心だけ飛ばす。 今夜もきっと御所の月は煌々と輝いている。
宇垣美里にQ&A
Q. もうすぐ念願の子供が生まれます。習い事など色々させてあげたいのですが、宇垣さんが小さい頃にしていた事でやっていて良かったと思えることはありますか?(もうすぐママ 20代女性) A. ピアノ! 幼稚園の頃から習っていたので、耳コピ得意だし楽譜も読めるし、他の楽器を始める時も、元々理解できてる部分があるから、かなり楽でした。なにより、言葉や表情以外で感情を爆発させるというか、表現できる方法を知っててよかったなあ、って何度も思いました。おすすめ。