5000年前に殺された「ビットルプマン」の驚きの生涯が判明、2つの異なる世界を生きていた
なぜ移り住んだのか? なぜ殺されたのか?
ビットルプマンについては、まだ興味深い疑問がいくつか残されている。 狩猟者の世界から農民の世界に移り住んだのは、自ら望んだことなのか? それとも奴隷にされたのだろうか? スウェーデン、ヨーテボリ大学の教授を務めるクリスチャン・クリスチャンセン氏は後者の説を支持している。「おそらく、彼が過酷な肉体労働に耐えられなくなったとき、生贄として神々にささげられた奴隷と理解すべきでしょう」 ビットルプマンの起源については、交易用の高品質な石斧や短剣を職人たちが生産していたデンマークに、北方から奴隷として連れて来られたという説がある。1300キロ近い距離を船で移動した可能性が高い。 先史時代の北欧で航海が始まった正確な時期は不明だが、デンマークと北方地域どちらの文化も航海に適した船を建造し、外洋や極寒の沿岸海域を航行する能力があったと学者たちは考えている。 いずれにせよ、分析の結果、ビットルプマンは紀元前3300~3100年、暴力によって命を奪われたことが判明している。ビットルプマンはこん棒で頭を8回殴られた。何度も殴られているのは「複数の人物が順番に殴ったためでしょう」とフィッシャー氏は述べている。
文=Anna Thorpe/訳=米井香織