多くの救助犬が能登半島の豪雨被災地に出動 災害大国が考えるべき問題と救助ロボットに優る「救助犬の能力」とは?
救助犬が「靴」を履いていない切実な理由
また、救助犬の活動が報じられるたび、「救助犬に靴を履かせて」といった声も多くあがる。捜索救助犬 HDS K9さんに伺ったところ、危険物が散乱している被災地で受傷する犬も少なくないという。 しかし、日本の被災現場には水分を多く含んだ泥や瓦礫が堆積しているため、「足先を靴でくるんで足の指を使えなくしてしまうと、このような場所を竹馬で歩くのと同じになり大変危険」なのだという。 この件に関しては、現状の「靴」(海外製)では対応できないという、高温多湿な日本の気候があり、救助犬の足にシンデレラフィットする「犬の活動靴」の開発が望まれる。
今は「救助犬の能力」に頼るしかない
能登での捜索救助活動をSNSで報告していた捜索救助犬 HDS K9さんに対して、「危険な場所に犬を連れて行かないで」「早くロボットなりドローンに変われば良いのに」といった意見を投げかける人もいた。 一般的に犬が集中できる時間は5分程度と言われている。犬自身が興味を持って「楽しい」と思える行動でなければ、さらに集中は難しくなる。犬の性質を知らない方からすれば、救助犬の活動は”奉仕”に見えるかもしれない。だが実際は、「救助活動」やその「訓練」は犬たちにとって、大好きなハンドラーと一緒に行う楽しいゲームのような感覚なのだという。 消防のハイパーレスキューなどが所有する「救助ロボット」や「ドローン」については、「いつか、人命捜索技術が進歩して犬の能力を超える日が来るかもしれません。ですが、それまでは彼ら(救助犬の能力)に頼るしかありません」とXに投稿していた、捜索救助犬 HDS K9さん。 「訓練されていない犬でも、数日前に訓練場に落としたおやつの欠片の残り香を嗅ぎ当てるくらい、犬の能力は想像以上です。災害現場において、広範囲を素早く探すことができる救助犬を活用することは、より迅速な人命発見のためには有効です」 「本当にもう一刻も早く(救助犬の)代わりに被災者を救出して災害と戦ってくれるロボットを開発して欲しいと切に願っています」 (捜索救助犬 HDS K9さんのXの投稿より)