“インド版ビリー・エリオット”の実話 限界を感じたら『コール・ミー・ダンサー』を観よう
『コール・ミー・ダンサー』が持つ実話のパワー
そして、何よりも心を打たれたのは、実話が持つパワー。マニーシュの半生は、実はNetflixで『バレエ:未来への扉』というタイトルで映画化されています(マニーシュも本人役で出演)。貧しかった青年が、師の導きでバレエの才能を開花させていくというストーリーは「インド版ビリー・エリオット」として話題を呼び、マニーシュは一躍人気者になりました。 しかし、舞台上でスポットライトを浴びてハッピーエンドの映画と違い、現実のマニーシュの人生は続いていきます。マニーシュは知名度こそ上がれど、20代半ばという年齢的にバレエ・カンパニーへの入団はかなわず、さらに怪我や新型コロナウイルスによるロックダウンによって数年間の我慢を強いられながら、非正規の仕事を転々としていきます。 そんなマニーシュが「ダンサーと呼ばれたい」という一心で、国を超えてダンスの仕事を探し続ける姿には、Netflix版よりも遥かに心を揺さぶる実話ならではのパワーがありました。年齢や境遇による壁を感じながら、それでもありたい姿のために日々努力を重ねる。何かの壁にぶち当たったときは、マニーシュの姿に希望と勇気をもらってみてはいかがでしょうか。
花沢香里奈