残糸でニットを作る「ライテンダー」の“サステイナブル”だけでは語りきれない熱い想い
残糸を使ってニットを作る。ライテンダーがどんなブランドかと聞かれたらそう説明するのがシンプルだろう。 ただ、そんなモノ作りをするブランドはほぼ前例がない。だからいろいろな疑問が湧くのだ。 残糸はどこから調達するのか。ニットだけでビジネスとして成り立つのか。そもそもなぜ、このようなブランドを始めようと考えたのか。 代表の澤木雄太郎さんとディレクターの小池勇太さんに話を伺った。
まったく異なる経歴の2人がNYのブランドで出会う
「アパレルのOEM(※1)に携わるなかで気にかかっていたことがありました。それは縫製工場に慢性的に積み上がる残糸や残布。それをずっと“もったいない”と思っていたんです」(澤木雄太郎さん)。 CEOの澤木さんは新卒で商社へ入社し繊維部門に配属。営業職として縫製工場とアパレルメーカーの間に立ち、発注から納品までの仲介役として十数年のキャリアを重ねてきた。 つまりはアパレル業界の構造を熟知した人物なのである。 ディレクターの小池勇太さんとの出会いは2013年のNY。澤木さんが研修留学に行ったとき、インターン先の有名ブランドに勤務していたのが小池さんだった。 小池さんは服飾専門学校を卒業するも日本国内の企業には就職せず、すぐに渡米していた。 「卒業が’11年の3月。震災の年です。被害を目の当たりにして単純ですが“生きているうちにやりたいことをやろう”と思いました。 語学留学をきっかけにローカルで生きた英語を学ぼうと考えていたところ、たまたまインターンの空きがあって潜り込んだという形です(笑)」(小池さん)。
生産部門、開発部門を経て、澤木さんと出会ったときにはデザインチームに在籍。 NYのブランドで研鑽を重ねてきた小池さんと、日本のアパレル業界に精通する澤木さん。まったく経歴の異なる2人だが当時から気が合い、いつか一緒にビジネスをしたいと考えていたという。 ’18年に澤木さんが独立。その後小池さんの帰国を機に再会し、ライテンダーがスタートした。