ダイハツの認証不正問題 トヨタ会長らに55億円の賠償求め株主提訴
ダイハツ工業の車両認証不正の問題を受け、親会社のトヨタ自動車の豊田章男会長らに対し、株主2人がトヨタへの賠償計55億円の支払いを求めた株主代表訴訟を名古屋地裁岡崎支部に起こしていたことが分かった。提訴は10月2日付。 訴状などによると、ダイハツはトヨタの100%子会社で、試験データの捏造(ねつぞう)や改ざん、車両や実験装置の不正加工などが計193件見つかり、2023年末からは一時、国内の全工場を停止した。 原告は、豊田会長や佐藤恒治社長とトヨタの元取締役ら計5人が、ダイハツに対し(1)適切な株主権の行使(2)内部統制システムの構築(3)不正当時の経営陣に損害賠償請求――をする義務を怠ったなどと主張。一連の問題で、トヨタはダイハツが被った企業価値の減少による880億円の損害と同額の損害を受けたと指摘した。その上で「もはやトヨタやダイハツには自浄作用は期待できない」として、豊田会長らに計55億円をトヨタへ支払うよう求めている。 ダイハツが公表した24年3月期の営業損益(単体)は50億円の赤字に転落。その後、今年6月には、トヨタ本体でも認証不正が発覚した。 トヨタは、「認証不正問題については当社としても重く受け止め、トップ自ら風土改革を進めている」と説明。同社の監査役が提訴しないとの判断をした中で「訴えが提起されたことは遺憾。当社の取り組みが裁判に正しく反映されるよう対応する」とコメントした。(渡辺杏果、大平要)
朝日新聞社