〝ピストルでスタートできる? 足音や声が聞こえない、陸上選手の思い 五輪選手と意外な共通点も
「勘」の裏に不断の努力
ともにリレー競技のメダリストである山田選手と朝原さん。 リレー競技ではバトンパスの際、バトンを受け取る側の走者は、バトンを渡す走者の「はい」の合図で、前を向いたまま手を出し、バトンを受け取る準備をします。 朝原さんは「僕たちも大歓声の中で走ることがあります。その時は、『はい』が聞こえない状況にはなるんですよね。そういうときは、勘で手を出すこともあります」と言います。 山田選手は「朝原さんも勘でもらうんですか?」と驚いた様子。「実はデフ陸上選手である僕も勘でもらうことがある」と語ります。 聴覚障害のある選手の場合、バトンを渡す選手の足音や合図となる声が聞こえない状況で、バトンを受けとることになります。 山田選手は「最初はお互いの距離感もスピードもわからないので、簡単な話ではないです」と話します。 バトンパスを成功させるまでの練習では、選手同士がぶつかってしまうことや、バトンパスが可能なゾーン内では渡せずに走りすぎてしまうこともあるといいます。 朝原さんは「僕たちは聞こえること前提にやっていて、聞こえなかったら最悪『勘』ということ。でも、聞こえない前提でやっていくのはかなり難しいと思います」と語りました。 山田選手は「技術だけでなく選手同士の信頼関係も大切」と強調しました。朝原さんも「信頼関係がないと、もらう人が『この人はちゃんと渡してくれるか』と思ってしまって、怖くて出られません。そこでスピードが落ちたりしてしまいます」といいます。 山田選手は「リレーは信頼関係を争う競技といえると思うし、それが魅力だと思います」と話しました。 また来年に向けての意気込みを、「ライバルも一生懸命練習してくると思いますので、負けないように練習を積み重ね、世界記録、金メダルを取れるようにがんばっていきたい」と語りました。