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「フードロア」なら映画祭で上映、監督・齊藤工が涙した“おにぎりのラブレター”回想

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映画ナタリー

斎藤工が齊藤工名義で監督した「フードロア:Life in a Box」の上映が、9月19日になら国際映画祭2020内で行われた。 【写真】「フードロア:Life in a Box」(メディアギャラリー他9件) 本作はエリック・クーが製作総指揮を担当し、HBOアジアが製作した食にまつわるアンソロジー「フードロア」の1編。意欲を喪失した作家、妻を亡くした男とその娘、年老いた元レスラーといった孤独な人々が、ある電車に乗り合わせたことから物語が展開していく。安田顕が主演し、安藤裕子、ザ・グレート・カブキ、川床明日香、松原智恵子、板谷由夏もキャストに名を連ねた。 奈良・東大寺金鐘ホールでの上映後には、齊藤と映画祭エグゼクティブディレクター・河瀬直美によるトークが実施された。鼻をすすりながらステージに上がった齊藤は「人前に立つことを約7カ月やっていなかったので……」と久々にファンと対面したことを喜び、「動いているはずの電車が止まるというストーリーと、今僕らが直面していることがリンクしていて、不思議と作ったあとに作品の意味が深まっていた。今も後ろで作品を観ながら、誰よりも鼻水をすすってしまって……。過保護なんですけど、愛しい我が子を観てくださってありがとうございます」と感謝を述べた。 本作で描かれるテーマは、齊藤の実体験がモチーフになっているという。2018年の西日本豪雨で友人夫婦からのSOSを受け現地に出向いた齊藤は、その後被災地の子供たちのためにワークショップを展開していった。「幼稚園を回っていたとき、給食のおばちゃまたちが非番なのにごはんを作ってくれたんです。しかも僕たちが移動するときに、白むすびを持たせてくれて。それを移動中にいただいたときに、涙があふれてきたんですよ。僕ら労働者のための塩加減。おにぎりというラブレターだったんです」と振り返る齊藤は、さらに「『千と千尋の神隠し』でもおにぎりを食べて涙するシーンがありますけど、自分を思い出しちゃう」と続けた。 また齊藤は、脚本を読んだ安田やザ・グレート・カブキ、安藤らに「なんでこんなに僕(私)のことがわかるんですか?」と言われたことを告白。「安藤裕子さんも数年間スランプに陥っていたことがあったそうで、グレート・カブキさんも人に言えない感情を抱えていたことがあったそう。安田顕さんには中学生のお嬢さんがいて、(役と違って)奥さんはご健在なんですけど(笑)。その奥さんに『あなたは何も料理ができないんだから、私がいなくなったときのために卵焼きだけでも作れるようになりなさい』って言われていたらしいんです。映画の奇跡のようですよね。みんなが我が事のように映画に臨んでくれたんです」としみじみ回想した。 電車内で展開される物語について、河瀬は「みんな1つの車両に乗り合わせただけで、それぞれの背景は知らない。それを、1つのお弁当や卵焼きがつなぐことになる。まるで映画館みたい」と話し、劇場に偶然居合わせた観客たちの関係に例える。また終盤に河瀬は「つらいこととか、誰かを傷付けてしまったこととか、いろいろあると思うけど、絶対にこの映画を観たら優しい気持ちになれる。この映画を上映させていただいたことが、私たちの“宝”やなって思う」と語り、上映に手応えを感じた様子。また会場では、キャストである安藤や川床のビデオメッセージが上映される場面もあった。 ※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記 (c)HBO / WarnerMedia

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