好調「金曜ロードショー」の裏で……人知れず「崖の上のポニョ」の不運
日本テレビの「金曜ロードショー」といえば、各局が映画の放送枠を撤廃する中、地上波のゴールデン・プライム帯で唯一、レギュラー放送し続ける映画枠だ。1972年にスタートした前番組「水曜ロードショー」から数えると、今年は放送50周年を迎える。確実に視聴率を取っているが、今月初め“ある難題”が持ち上がっていた。 【宮崎監督作品一覧】視聴率第2位は「千と千尋の神隠し」 さて、視聴率第1位は? ***
5月20日の「金曜ロードショー」では、「ショーシャンクの空に」が放送された。番組が視聴者のリクエストに応えたものだ。スティーヴン・キング原作のヒューマンドラマで、日本では1995年に公開された。今でもファンが多いことは言うまでもない。視聴率は8・8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)だった。30年近く前の作品で、これだけ視聴率が取れれば十分かもしれない。だが、その前週は、さらに古い映画だった。 5月13日は「ローマの休日」。日本で公開されたのは1954年だから、68年前の映画である。各局で放送され続けてきた「ローマの休日」は、今回が実に14回目(日テレでは3回目)。それにもかかわらず、視聴率は9・8%と2桁に迫ったのだから大したものだ。日テレ関係者は言う。 「『ローマの休日』は日本では著作権も切れています。それで2桁近い数字を取ることができたのですから、ありがたい限りです。もちろん、ただ放送するだけでなく、今回は吹き替えの声優陣を刷新しました。オードリー・ヘプバーンのアン王女には、『鬼滅の刃』の“胡蝶しのぶ”を演じた早見沙織さん、グレゴリー・ペックの新聞記者には、現在の『ルパン三世』で“石川五ェ門”役の浪川大輔さんと言った具合です」 新作の映画が作られ続けているのだから、旧作を放送していては間に合わないのではないか。
キラーソフトが1桁に
「新作だからと言って、すぐに放送できるわけではありませんし、放映権にはお金も掛かる。洋画には吹き替えも必要ですし、新作なら数字が取れるというわけでもありません」 そんな中、「金曜ロードショー」の強みと言えば、宮崎駿監督に代表されるジブリ作品の放送である。 「スタジオジブリの最新作が公開されたり、夏休みの時期になると、過去のジブリ作品を放送するのが恒例となっています。DVDが発売されているにもかかわらず、地上波の再放送で人気のコンテンツです。特に宮崎監督の作品は、公開から何年経っても確実に2桁視聴率が見込めるキラーソフト。日テレで『金曜ロードショー』という映画枠が生き残っている要因のひとつと言っていいでしょう」 宮崎駿監督作品がこれまで日テレで放送された回数がスゴイ。最も多いのが「風の谷のナウシカ」(84年)で19回も放送されている。第2位は17回で、「ルパン三世 カリオストロの城」(79年)、「天空の城ラピュタ」(86年)、「となりのトトロ」(88年)の3作。これらの作品はいずれも、最近の放送でも視聴率2桁をキープしている。 ところが、そんな宮崎アニメに異変が起きた。5月6日に放送された「崖の上のポニョ」が8・6%に終わったのだ。