<飛躍!今年こそ・健大高崎2021センバツ>/中 無駄のない強い振り コーチが前任校から導入、打撃理論 /群馬
◇「近距離バッティング」で開花 最初から強打者ぞろいだったわけではない。むしろ、「『力がない』と言われた代だった」。1、2年生の指導を担当する赤堀佳敬コーチ(27)は、2年生の入学当初をそう振り返る。打撃が得意な選手でも、守備や走塁は苦手と、バランスを欠いていた。 赤堀コーチが健大高崎に赴任したのは、2019年4月。ちょうど2年生の入学と重なる。以前は岩手の強豪・盛岡大付でコーチを務めていた。その経験から「モリフメソッド」と呼ばれる打撃理論を健大にもたらした。 赤堀コーチによると、モリフメソッドは盛岡大付の関口清治監督が、岩手の花巻東でエースだった大谷翔平投手を攻略するために考案した理論。上半身と下半身のねじれやバットのしなり、球を打つ瞬間の力の入れ方を重視する。指導するにあたり、「関口監督の全くのコピーではなく、自分流にアレンジした」という。 中でも、選手たちが「効果を感じた」とする練習が「近距離バッティング」だ。これは投手に実際の距離より短い10~12メートル先から全力投球させ、打ち返すというもの。打者の体感速度は150キロほどになり、タイミングをとる間が短く、「無駄のない強いスイング」につながる。1番打者の堀江晃生(2年)は「低めの変化球を見逃し、甘い球を狙えるようになった」と話す。 2年生全員が打った本塁打は、これまでに230本を超える。200本目は昨秋の関東大会準決勝の専大松戸(千葉)戦で桜井歩夢(2年)が達成した。当初の桜井について、赤堀コーチは「モノは良かったが、追い込めない性格で、勝負弱い」と見ていたが、モリフメソッドで大きく花開いた。昨秋の県大会と関東大会では、それぞれ6割超の打率を記録している。 青柳博文監督が同じくセンバツに選出された昨年のチームより良いと評価する打撃で、全国の好投手を打ち崩せるか。小沢周平主将(2年)は「まだまだ振り込まないといけない。さらに高いレベルを目指す」と意気込む。【川地隆史】