【週刊・稲盛和夫語録】5月9日の金言「リーダーの資質」
疫病の蔓延や世界情勢の悪化……不安定な世の中において、私たちはどのように生きていくべきしょうか。京セラ株式会社をはじめ、KDDI、JALと3つの世界的企業を率いた稀代の名経営者・稲盛和夫氏は、数々の著作や講演で多くの人に勇気を与え、背中を押してきました。今回は、そんな稲盛氏がすべてのビジネスマンにおくった「366の箴言」より、5月9日~5月15日の言葉を紹介します。
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9日…リーダーの資質(1)
リーダーの資質について、中国の明代の著名な思想家である呂新吾は、政治のあり方を説いた著書『呻吟語』の中で、「深沈厚重ナルハ是レ第一等ノ資質」と述べています。つまり、リーダーとして一番重要な資質とは、常に深く物事を考える重厚な性質を持つ人格者であるべきだ、と言っているのです。 さらに呂新吾は、同じ『呻吟語』の中で、「聡明才弁ナルハ是レ第三等ノ資質」と述べています。つまり、頭がよくて才能があり、弁舌が立つことは、三番目の資質でしかない、と言っています。
10日…リーダーの資質(2)
現在では、呂新吾が言う第三等の資質しか持っていない人、つまり、聡明才弁の人をリーダーに選ぶことが、世の東西を問わず、広く行われています。たしかにこのような人材は能吏として役に立つことは間違いありません。しかし、彼らが果たして立派なリーダーとしての人格を備えているかどうかは疑問だと思うのです。 私は現在、世界の多くの社会が荒廃している原因は、このように第三等の資質しか持っていない人材をリーダーとして登用しているからだと思うのです。
11日…心にある障壁
より高く自らを導いていこうとするならば、あえて幾重に立ちふさがる障壁に立ち向かっていかなければならない。そして一番大きな障壁は、安逸を求める自分自身の心だ。自分自身に打ち勝つことにより、障壁を克服し、卓越した成果をあげることができる。
12日…信念、志、勇気
先賢の高邁な知識をどんなに学んでも、経営論や技術論をいくら習っても、道を究めようという強い信念、高い志、勇気を持って臨まなければ、身に心に深く刻み込まれることはない。それでは、いざ実践しようというときに役に立たない。