【ルフィ強盗団】「ババアは大声出すのでみぞおち狙って下さい」…狛江強盗事件で幹部が命じたヤバすぎる「犯行指示」
「ドカッ」―。 薄暗い地下室に鈍い音が響く。「仲間」の男がバールで高齢女性を殴りつけ始めた。 【写真】えっ、半裸の人も…! 内田梨瑚被告らの「飲み会」のようす 別の男が女性の耳元でささやく。 「カネのありかを言え。家族を殺すぞ。家を燃やすぞ」 バールの振り下ろすスピードには一切の手加減を感じなかった。「計画されていなかった」バールでの殴打を目の当たりにした中西一晟(21歳)は、ただ立ち尽くすことしかできなかった。 「自分も殺されるかもしれない…」
強盗致死罪で懲役23年
「主文、被告人を懲役23年に処する」 9月6日、東京地裁立川支部で判決が言い渡されると、元大学生の中西は、ヒョロっとした細身をスーツに身を包み、立ち尽くした。事態を受け入れられないのか、メガネ越しに呆然と裁判長のほうを見つめていた。 「ルフィ」と名乗る人物らがフィリピンを拠点に強盗の指示をしていた一連の広域強盗事件の実行役として、東京都狛江市で住人女性(当時90歳)を暴行して死亡させた強盗致死罪などに問われていた。 刑法では強盗致死罪は「死刑又は無期懲役に処する」とされており、中西に下された刑は一見軽く思える。しかし、中西は一貫して「一切暴力を加えていない」「(直接の死因となった)バールで殴る計画は知らなかった」と主張していた。 対して、裁判所はそれを退け、中西が強盗致死に関わった他の3人の実行役らの「共犯者」であると見なし、当時19歳の特定少年だという点などを考慮した上での判決を言い渡した。なぜ、元大学生は、取り返しのつかない凶悪犯罪者へと転落の一途をたどったのか。
「闇バイトなら稼げる。ホンモノを教えてやる」
事の始まりは、狛江市の強盗事件の実行役メンバーとして共に起訴された加藤臣吾(25歳)の「誘い」だった。 中西は石川県白山市で生まれ育ち、高校卒業後に東京都中野区で一人暮らしをしながら都内の大学に通っていた。どこにでもいる平凡な上京学生として日常を過ごしていた。 2022年8月、大学に通い始めて4ヵ月ほどが経ったころ。当時19歳だった中西の部屋に、「ネットゲーム仲間」だった加藤が押し寄せた。 「住む場所が無くなってしまった。家賃は半分払うから一緒に住ませてくれないか」 猛暑の中、追い払うわけにもいかず、渋々加藤を招き入れた。しかし、一向に家賃は支払われない。催促しても「PayPayの送金額の制限になった」「ギャンブルで負けた」とはぐらかされた。 親からの仕送り口座を確認すると、見覚えのない出金で残高が減っていた。加藤に生活費を使い込まれ、光熱費が支払えないほど困窮した。 一体どうすれば…。 頭を抱えていると、加藤が口にした。 「闇バイトなら稼げる。ホンモノを教えてやる」