中国でHuawei最新スマホ「Mate 70」の熱狂冷める?
しかし、そうした中でも同社は半導体などの部品の中国国内開発を進めてきたとみられる。23年8月には、7ナノメートル(nm)技術で製造された半導体を採用し、5G(第5世代移動通信システム)相当の性能を持つ「Mate 60 Pro」を市場投入して消費者を引き付けた。 Mate 60は、中国が自力で米政府の輸出規制を乗り越えたことを象徴するスマホだと、同国内で称賛された。しかし、ロイター通信によれば、Mate 60はその後、性能や歩留まりの点で大きな改善が難しいことが分かった。その結果、Mate 60は品不足に陥った。ジェフリーズは、Mate 70においても半導体に関連する供給不足が発生すると予想している。 ■ 愛国的な感情が市場復帰を後押 ただ、別の見方もある。シンガポールに本部を置く調査会社カナリスのアナリストは、ファーウェイの新製品に対する消費者の熱狂がかつてほど高まらないのは必然だと指摘する。復活当初に業界と消費者の間で大いに高まった熱狂は、やがて落ちつくと考えるのが自然だという。 その上で、カナリスはMate 70の販売台数はMate 60シリーズと比較してわずかに増加すると予想している。今のファーウェイには、主力製品を生産するための十分な能力が確保されていると分析している。 ファーウェイを巡る愛国的な感情が、同社の市場復帰を後押しし、競合との競争を激化させている。 米調査会社のIDCによると24年7~9月における中国スマホ市場のメーカー別出荷台数の順位は1位から、中国vivo(ビボ)、アップル、ファーウェイ、中国・小米(シャオミ)、中国HONOR(オナー)の順だった。 アップルは、5年ぶりに5位圏外に転落した4~6月から回復し、2位に浮上した。しかし同社は安閑とはしていられない状況だ。iPhoneの出荷台数が前年同期から0.3%減少したからだ。 一方、ファーウェイの市場シェアは15.3%で、4.2ポイント拡大。出荷台数は42%増加した。4四半期連続で2桁以上の伸びを記録しており、「目覚ましい復活を遂げた」(IDC)。
小久保 重信