プロが選ぶ「声が良い」女優、現役No.1は? ベスト女優(4)20代ではぶっちぎりのトップ…美声の秘密は?
男性は目で恋をし、女性は耳で恋をする―。作家ウッドロー・ワイアットが遺した格言だ。しかし、声が重要なのは何も男性だけではない。「印象の4割は声による」という説があるように、女性にとっても武器になりうる。そこで今回は声の専門家に「最高のイケボ女優」の選出を依頼。女性ならではの声の魅力を語ってもらった。第4回。(取材・文:司馬宙)
浜辺美波
―――続いては、今回最年少の浜辺美波さんです。 「浜辺さんの声も長澤さん同様キーが高いんですが、キンキンしない高音という印象ですね。若い女優さんの声って、どちらかというと高くてキンキンした声の方が多いんです。ただ、彼女の声は、柔らかくて、比較的低音の声も出せる。ということで、今回選ばせていただきました」 ―――浜辺さんと言うと、古風な顔立ちも相まって、『ゴジラ-1.0』(2023)や『らんまん』(2023、NHK総合)などの昭和を舞台とした作品が合う印象があります。 「正直、声の印象だけで言うと、あまりレトロな感じはしないですね。フレッシュな声質なので、どちらかというと清涼飲料水のCMや、少女マンガの主役が似合うイメージです。俳優で言うと、中川大志さんの声質に近くて、子音、特に『か・き・く・け・こ』の発音がしっかりしています。しっかりトレーニングを重ねている証拠ですね」 ―――やはり日々の研鑽が重要なんですね。 「そうですね。特に若い方の場合は、皆さん当たり前のようにトレーニングを受けているので、サボった結果が顕著に出ます。ただ、ストイックに研鑽を積んでいる俳優さんが花開くかというと、必ずしもそうでないところが芸能の世界の残酷なところであり、面白いところでもありますね」 ―――対照的に、特別にトレーニングを積んでいないのに、もともと声質が良いという方もいらっしゃるのでしょうか。 「私は今、音楽教育に関わっているんですが、一人、ずば抜けて歌が上手い生徒さんがいます。ただ、その子は、『うまく歌わなきゃ』とか、『みんなに褒められなきゃ』とか、そういった気持ちが一切なくて、『ただ歌いたいから歌うだけ』なんですね」 ―――何も考えていないから、のびやかに歌えるんですね。 「そうなんです。ただ、芸能界を目指す生徒さんが、このような心持ちを維持できるかは、正直難しいと思います」 【日本美声チューニング協会 三浦人美会長 プロフィール】 発声解剖学をベースにした声を出しやすい身体に整える美声チューニング®を提唱。20代はバンドのボーカルとして芸能事務所へ所属。年間300本のライブをこなし歌い続けた経験の中で発声・姿勢・呼吸等、身体のアプローチから声を変えていく手法を実践。バンド活動の終了後は、講師として稼働をスタート。人前で声を扱うことが多い企業代表や芸能事務所所属のアーティストレッスンまで延べ3,000人以上の方を指導する。
司馬宙