広島の大規模PCR、最大3900人の陽性想定 県が計画案、検査費用10億円盛る
新型コロナウイルス対策で、広島県は29日、広島市内4区で取り組む任意、無料の大規模PCR検査の基本計画案を発表した。市の感染者数が減少傾向にある中、無症状者を早く見つけ出し、感染を抑え込むのが狙い。1カ月で約28万人を検査し、最大3900人の感染が判明すると想定する。緊急編成した2020年度一般会計補正予算案に事業費10億3800万円を盛り込み、2月3日開会の県議会臨時会に提案する。 【図】大規模PCR検査のポイント 大規模PCR検査については、県議会などで賛否を巡る議論が起きている。記者会見した湯崎英彦知事は「感染に気付いていない無症状者を見つけ、感染経路を断ち切るのが、一番の目的」と意義を強調。「一時的に陽性者は増えるが、中長期的には感染を抑え込める」と理解を求めた。 案によると、検査は広島市中、東、南、西区の住民と働く人計約70万人を対象とする。これまでは住民約60万人、働く人約10万~20万人としてきたが、精査した。事前の県民アンケートなどから4割に当たる約28万人が受けると予測。2月中旬に始め、中、南、西、東区の順に、それぞれ1週間程度かけて実施する。 検体として唾液を採取する。検査会場となる公的施設などを4区で複数確保し、事前に予約して来てもらう。市薬剤師会(東区)の協力で、薬局で検査キットを受け取り、検査会場へ届けてもらう方式にも対応する。働く人は職場を通じて検査キットを配って回収する。実施場所などの詳細は近く公表する。 検査では、複数の検体を同時に調べる「プール方式」を採る。4区でのこれまでの陽性率の分析から、感染が判明するのは2300~3900人と試算している。いずれも無症状か軽症とみており、ホテルで療養してもらうが、感染者数が多い場合は自宅療養を求める可能性もあるという。 補正予算案は55億500万円。県が営業時間の短縮を要請していない県内の飲食店には、1店舗当たり一律30万円の支援金を用意する。昨年12月か今年1月の売り上げが、前年同月比で30%以上減少したことなどを条件とする。 飲食店への時短要請は段階的に縮小する。2月8~21日は、広島市内全域の酒を出す飲食店に酒の提供を午後8時まで、営業を午後9時までに短縮するよう要請する可能性がある。これに備えて、1店舗当たり28万~38万円の協力金を計上した。延長の是非は、補正予算案可決後の4日か5日に、感染状況を踏まえて判断するとしている。
中国新聞社