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「永遠に終わらない確定申告は勘弁して」、バー開業税理士が語る「コロナぶっちゃけ話」

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税理士ドットコム

新宿二丁目という立地に税理士事務所を開業し、新宿ゴールデン街で自らバーも経営するなど、“夜の街”業界に詳しい高橋創税理士。いま一番経営環境が厳しいといわれる飲食業界に一日でも早くにぎわいが戻ることを願い、zoomを利用して呑みながらインタビューしてみました。(ライター・拝田梓) ●灯が消えたゴールデン街、新宿二丁目 ――新宿・ゴールデン街で、ご自身でバーを経営されていますが、景気はいかがでしょうか? いまお店は開いてないですね。ゴールデン街は外国人がまったくいなくなりました。休業に協力すると協力金が貰えるらしいんで、協力しようかと思ってます(笑)。普段の月より儲かっちゃうかも。 お店持っていて良かったなと思っていて。経営してる人の気持ちが多少なりともわかるし、そういう人が申請するような給付金に僕も申し込めるので。聞かれていることに答えやすいです。 今日もゴールデン街のお店で申請するために、臨時の酒類販売免許の申請書※を書きました。税理士としては株を上げるチャンス。ここで頼りがいあるところを見せなきゃいつ見せるんだ、みたいな気になりますよね。 ※酒類の販売には酒税法に基づき、販売場ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長から販売業免許を受ける必要があるが、コロナの影響で在庫を売りたい飲食店などのために期限付で酒類小売業免許を受けられる措置が設けられている。申請は6/30(火)まで。免許期限は免許付与から6か月間。(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/17/62.htm) ――二丁目の景気はいかがでしょうか。 もう全然お店は開かれてないですね。バーは名指しで休業するよう言われちゃったんで。 二丁目のゲイバーのママさんからクラウドファンディングやりたいという相談があったんですよ。ゲイバーってお店じゃなくて“人”にお客さんがつくので、従業員をキープしておかなきゃいけないけど、お店を開けないから給料払えなくて。 従業員分のお金をクラウドファンディングでお店のファンが支援してくれればなぁって。そのリターンとして、zoom飲み会にゲストとして来てくれるとか、オンラインゲイバーができるとか、課金してくれるための仕組みを考えようかと思っています。 ●収束してもzoom飲みが流行ってたら、夜の街は終わり ――少なからぬ顧問先が影響を受けているわけですね。 ある意味、今の時代は税理士としては腕の見せ所だと思っています。報道を見ていろいろと問い合わせが来ていますから。なので今日も、顧問先にメールや手紙で今出ている助成金などの情報をお知らせしました。 経営者の皆さんは自分だけ置いて行かれてるんじゃないかと不安になっちゃうんで、「まだ誰も申し込めていないんですよ」「詳細は決まってないです」と伝えるだけでも違うんじゃないかなと思ってるんですね。情報の交通整理をしてあげる役割が税理士にはあるのかなという気はしています。 正直、飲食店はかなり厳しいと言わざるを得ません。助成金があっても厳しいというのが本音じゃないでしょうか。政策金融公庫の融資も面談自体が今からの申し込みだと5月末近くでしょう。それまでもたないと思います。 今すでに廃業してしまったお店は、もともと廃業するかどうか迷っていたようなところが多いんじゃないかと思うんですよ。ギリギリまで頑張ってたけど苦渋の決断、みたいなところはこれからだと思うし。 今回不況と言いますが、今までの不況では大きいところが潰れましたけど、今回はまだ大きいところは潰れてないんですよ。大きいところが潰れたらまた一段二段行くと思うんですよ。それだけに、怖いんですよね。 ――誰にも先が見えないので本当に苦しいですよね。 あと怖いと思っているのは、夜の街のことに関してだと、みんなが我に返っちゃうこと。このままだと、毎日飲みに行ってたけど、あれ別に行かなくても良かったよねっていう、「正しい結論」にたどりついてしまうんですよ(笑)。そうすると、お店を開けてもお客さんが戻ってこないんじゃないかなって。収束してもzoom飲みが流行ってたら、夜の街は終わりだと思いますよ。 ――もう顧問先に潰れたところが…? まだ潰れてしまったところはありませんね。みんな辛そうにはしてますけど。だから、「辛いの分かるよ」って顔をするのには慣れました(笑)。 日々掛かってくる電話が、お金がないとか借入れしたいとかばかりなのでこちらのメンタルもだいぶヤバくなってますが、これが潰れる話ばかりだと本格的にヤバいですよ。まぁでも税務署も色々と今回は考えてくれていると思います。 ●終わらない確定申告期限は正直困る ――割と税務当局は先手先手を打って来てますよね。 でも、確定申告期限の再度の延長は要らない(笑)。お蔭様で永遠に終わらない確定申告になってます。夏休みがずっと終わらないと思ったら、子どもも絶対に宿題しないじゃないですか。しかもお客さんも、申告終わってるのに「追加の領収書が見つかったんだけど、期限が延びたから大丈夫ですよね」って持ってくるんですよ。確かに訂正申告でいけるし、税務署が色々とやってくれているのはありがたいんですけど、けじめは大事だぞと(笑)。 個人店の人はどんどん現金がなくなってきていて、2月には納税できてたけど、今はできないなんてことも当然あると思うんですよ。2月の時に払う50万円といま払う50万円じゃ意味合いが違う。伸び続ける申告期限には弊害もあるんじゃないかな。 ――納税猶予はありがたいですか? 納税猶予はありがたいですけど、1年後に2年分納めるということなのでそれに甘えるのはやめましょうねと言っています。いつも税金納めるの嫌って言ってるじゃないですか、それが2年分来るとなると死にたくなるよ?と言っています。ただ、来年赤字になれば結局1年分の納付で済むという説もありますが。来年を確実に予想できる会社はありませんからね。 ――税務署とのやり取りは顔を合わせずにカタがつくんですか? 今は税務署とのやり取り自体が止まっています。税務調査も止まってますし。問い合わせの電話や出した申告書のお伺いとかは来ますけど、電話ですね。実際に会うことはないです。 僕仕掛中の税務調査が2つあるんですけど、資料だけで終わらせたいですって連絡をいただいています。 税務調査をやらない期間が長くなるほど、税務署もこなしていくのでいっぱいいっぱいになっていくと思うんですよね。 ●「オンライン確定申告酒場をやりたい」 ――税理士としてはテレワークはどうなんでしょうか。 うちは会計法人をテレワークにしていて、家のパソコンから会社のパソコンにリモートでアクセスしてもらってるんですよ。会計ソフトを家に持ってもらうわけじゃなくて。 ここのところ人材難と言われていたんですが、テレワークがオッケーになったらだいぶ可能性が広がるんじゃないかと思っています。ただ、能率は絶対に下がるので、どう業務を組み立てるのか、考えていかなきゃいけないかと思います。雇用の創出になるかもしれないし。 それぞれの事務所でテレワークを始めていると思うんですが、ニセ税理士問題で2カ所事務所を禁止にしている手前、税理士的にタブーになっていて、情報の共有ができないんですよ。 表では言えないけど、こっそりとテレワーク的なことをやっていたところはきっとあるはずだと思うので、これをいい機会に知見を持ち寄っていい形を作っていけたら一番いいと思います。いまは黎明期だと思うので。 オンラインでお酒を飲みながら確定申告の相談を受け付ける「オンライン確定申告酒場」とかやりたいなと思ってて、テレワークとオンライン確定申告酒場だけは税理士会的にオッケーにしてほしいですね。 【プロフィール】 高橋創(たかはし・はじめ)税理士。専門学校講師、会計事務所勤務を経て、2007年に「高橋創 税理士事務所」を開業。また、新宿ゴールデン街にBar「無銘喫茶」を構える。さまざまな人の確定申告の相談に乗る「確定申告酒場」を不定期開催。また、LINE@にて無料相談実施中。line://ti/p/@gqz0495i URL: http://namahage-tax.jp/

弁護士ドットコムニュース編集部

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