新喜劇座長・川畑泰史が語る!「小籔は一番エエヤツ」
小籔は座長になった。僕はなっていない。その状況で、一緒にご飯に行ったりもしてましたけど、向こうは気を遣っていたと思いますよ。物言いとしては、こちらを慰めるわけでもなく、はっぱをかけるわけでもなく「やっぱり、川畑さんがおらんと…」と優しく言ってくれるんです。ただ、僕も「そうやろ!!」と威勢よく乗っかっていくのも違うし、「いやいや、そんなことないで」と引いた物言いをするのも、またちょっと違うし。どう答えるのが正解なのか。それがハッキリ見いだせずに、僕は苦笑いくらいしかしてなかったと思います。 ただ、その中でただひたすらに強く思ったのは「とにかく頑張らなアカン。座長にならんことには、シャレにならん」ということでした。 それから新喜劇でこちらが大きなチャンスをもらった時には、素直に小籔に相談に行きました。台本も読んでもらって「どうしたらいいと思う?」とアドバイスももらいました。恥も外聞もない。なるしかない。 そして、小籔がなってから1年ちょっと経って、僕も座長になることができました。 座長として初めての公演をした日の晩、2人で飲みに行きました。僕は、思いとしては「待たせて、すまんかったなぁ」という気持ちでいっぱいやったんですけど、それを口にすることはできなかった。一方、小籔は実際に言葉として、僕に思いをくれました。「もう、これで互いに自分のことを考えるのはやめて、これからは新喜劇のことを考えていけますね」と。ま、なんと言ったら妥当なのかは分かりませんが、とにかく、いいお酒でした。 世間的には“悪口言うてるヤツ”と思われてるかもしれませんけど、う~ん、ま、これを言うたら、褒めすぎになってしまいますかね…。僕が知ってる人間の中で、一番エエヤツやと思います。小籔は。芸人とか、地元の友達とか、関係なく、僕が知ってるすべての人間の中でね。後輩やから、メチャメチャ言いにくいと思うんですけど、僕にもズバッと怒ってくれますしね。 …あの~、これ、今さらながらですけど、インタビューとして、世に出るんですわね…。喫茶店でしゃべってるんやないんやから(笑)。僕としたら、一回も小籔に言ったことはない話ばっかりやったんですけど、次、小籔に会った時に「川畑さん、そんなん思ってたんですか?僕、全然思ってませんけど」って言われたら、顔真っ赤になりますわ(笑)。 (聞き手/文責・中西正男) ■川畑泰史(かわばた・やすし) 1967年6月22日生まれ。京都市出身。京都府立桃山高校卒業後、複数の職を経て、大阪NSCに9期生として入学。同期は「ナインティナイン」、宮川大輔、「矢野・兵動」ら。91年、吉本新喜劇に入団。お笑いコンビ「ビリジアン」解散後、新喜劇入りした小籔千豊とともに次代のリーダーとして頭角を現す。2006年2月に小籔が、川畑が07年6月に座長に就任する。また、東京・サンシャイン劇場で行われる吉本興業のイベント「東京グランド花月」(9月29日~10月2日)にも新喜劇として出演する。同イベントには、他にも「中田カウス・ボタン」「オール阪神・巨人」「FUJIWARA」「メッセンジャー」「ロバート」「トレンディエンジェル」「ハリセンボン」「コロコロチキチキペッパーズ」らが出演する。 ■中西正男 1974年大阪府枚方市生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。大阪報道部で芸能担当記者となり、演芸、宝塚歌劇団などを取材。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、芸能ジャーナリストに転身。現在、朝日放送「おはよう朝日です」などに出演中。