新喜劇座長・川畑泰史が語る!「小籔は一番エエヤツ」
ただ、やっぱり、カレは純粋におもしろいですからね。すぐに頭角を現してきて、どんどん大きな役をやるようになっていきました。 座長についても早い段階から2人で話をしていました。その頃、よく話をしていたのが“新喜劇で金持ちになるにはどうしたらいいのか”ということ。小籔は、いわば漫才から転職してきて、もう後がない。僕もずっと新喜劇をやってきて、もう新喜劇しかない。立場は違えど、新喜劇で頑張るしかない。じゃ、どうすれば、そこでしっかりと生活をしていけるのかと。 2人で考えた結果、新喜劇で金持ちになるには3つの方法があると。1つ目は山田花子さんや藤井隆くんみたいな“飛び抜けたキャラクターで人気者になる”。 2つ目は池乃めだかさんみたいに“新喜劇になくてはならないベテランになる”。そして、3つ目が“座長になる”。 僕らが明日からいきなり藤井くんみたいなことができるわけもないし、そもそも、そんなキャラクターでもない。ベテランになるというのも、今から何十年待たなアカンねんと。それなら、座長しかない。しかも、2人とも、こういう新喜劇をやっていきたいという確たる思いもある。そうなると、どう考えても、3つ目の選択肢しかないなと。 そこから座長を見据えた公演や、芝居を一緒にどんどんやっていきました。新喜劇のプロデューサーさんと小籔と僕と3人で飲みに行った時も、とにかく、そういうエナジーみたいなものだけはマンマンにありますから、酔った勢いもあって「僕らもおもしろいことができます!!」と直談判をしたりね。そんなことを重ねているうちに、実際、少しずつ扉が開いていったという感じでした。 そして、2006年2月、小籔が座長になりました。…今まで、こんなことを公には言ったことはなかったんですけど、いろいろな思いがある中で、正直な、正直な話、僕が一番思ったのは「小籔、喜ばれへんのと違うやろうか…」ということでした。 これはね、思いっきり、僕の思い違いかもしれませんし、小籔からしたら「そんなこと全く思ってません。機嫌よく祝杯挙げてましたわ!!」という話かもしれませんけど、自分がなれなかった、遅れをとってしまったということで、変に気を遣わせることになってしまったんじゃないかと。 ま、こんなこと、今日にいたるまで答え合わせもしたことないし、僕の推測に過ぎないんですけど、一緒にやってきて、僕はなれなかった。自分が足手まといになっているというか、なんとも言えない申し訳ない気持ちになりましてね。そして、僕が座長にならんと、こいつはずっと喜べないんじゃないかと。そんな思いになったんです。