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新型コロナワクチンに3つの「泣きどころ」 大阪で人への試験始まる 開発の最前線

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 中国グループは人に無害と考えられる「アデノウイルス」というウイルスに病原体の成分を運ばせている。あまり知られていないのだが、このアデノウイルス自体への免疫反応を示す人が、国より異なるが3~8割存在するのである。アデノウイルスが無害とはいえ、アデノウイルスという運び屋に免疫反応ができてしまうと、ワクチンがウイルスに作用する前段階で撃退される事態になりかねない。ワクチンを有効に効かせる上での盲点になる可能性がある。こうした運び屋にしてもさまざまな選択肢があり、先頭集団が採用している手法が最良であるとはまだ言えないのが実態だ。  さらに「抗体依存性免疫増強(ADE)の問題」も立ちはだかる。ワクチンによってできた免疫反応を担う抗体がウイルスに結合すると、ウイルスが無力化されるのが理想的だ。しかし、実際にはADEと呼ばれる現象が起こる可能性がある。ウイルスに抗体という目印ができることで、白血球の一種がウイルスに結合し、これをきっかけにウイルスが白血球に侵入する問題が起きてしまう。結果として、感染症の重症化につながる恐れがあるのだ。

 このADEでよく知られているのが、2013年に日本国内でも発生して問題になったデング熱ウイルスがある。最初にデング熱ウイルスに感染したときには軽症でも、その後に再感染すると、最初の感染でできた抗体のおかげで感染症が凶悪化してしまう。ほかにも獣医領域では、猫のコロナワクチンで起こりやすいと知られており、ADEがあるためにワクチンがうまく作れないでいる。  こうした3つの泣きどころを踏まえると「理想的ワクチン」への道はいまだ霧の中だ。  ▽免疫反応には2つのタイプ  最後のADEの問題を回避する意味で見逃せない考え方がある。ウイルスなどの外敵から身を守る「免疫反応」には大きく2つのタイプがあり、このバランスを意識してワクチンの効果を発揮させる考え方だ。  細胞の仕組みを擬人化して表現した漫画『はたらく細胞』(清水茜、講談社)で分かりやすく表現されていたが、2つのタイプの免疫反応とは、「抗体」という砲弾を放つバズーカ砲を持った「B細胞」による遠隔攻撃の免疫と、肉弾攻撃を繰り出す殺し屋の「T細胞」による近接攻撃の免疫だ。ADEの問題では分泌された抗体が悪さをしてしまう一方で、T細胞はウイルスに感染した細胞ごと殺し、ADEの問題につながりにくいと考えられる。

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