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峯村健司/《米中コロナ戦争》CIAと武漢病毒研究所の暗闘〈習近平はなぜ絶体絶命のピンチを切り抜けたか〉――文藝春秋特選記事【全文公開】

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文春オンライン

 新型コロナウイルスを巡り、米国大統領、ドナルド・トランプの中国批判が止まらない。 「中国国内で食い止められた可能性もあったが、実際はそうならなかった。ミスにより収拾がつかなくなってしまったのか、意図的だったのか。両者には大きな違いがある。故意だったとしたら報いを受けるべきだ」  トランプが4月18日の会見でこう語ったように、いま、焦点となっているのは、ウイルスの「発生源」である。特に、米国から疑念の目を向けられているのが湖北省武漢市にある政府系研究機関「中国科学院武漢病毒(ウイルス)研究所」だ。発端は4月14日付けのワシントン・ポストの報道である。同研究所を視察した米外交官が、2018年に本国に送った外交電報の内容を明らかにしたのだ。 「この研究所ではコウモリに寄生するコロナウイルスの研究をしているが、安全に運営するための訓練を受けた技術者が不足している。このウイルスは人に感染する恐れがあり、重症急性呼吸器症候群(SARS)のような感染拡大を引き起こす危険性がある」  新型コロナはコウモリ起源とみられている。つまりこの記事は、米政府が2年前の時点で、SARSの再来を懸念していたことを明らかにしたのだ。  記事を執筆した同紙コラムニストのジョシュ・ロギンは、筆者が勤務していた朝日新聞アメリカ総局の元同僚で、ホワイトハウスや国務省の幹部に幅広い人脈を持っている。今回の電報は政権内部から入手したとみられ、信頼性の高い報道だろう。  実は筆者も武漢ウイルス研究所に関心を抱いていた。武漢には多くの重要な軍事関連施設があり、北京特派員時代にしばしば取材で足を運んでいた。軍と関係があると言われている武漢ウイルス研究所にも着目しており、今年1月に新型コロナの感染が表面化したとき、すぐにその名前が思い浮かんだ。  改めて研究所のHPを確認すると、ワシントン・ポストが指摘したように、2018年3月に米外交官が訪問し、研究員の石正麗らが応対した様子が写真付きで紹介されていた。石は新型コロナがコウモリを感染源とすることを示した論文の執筆メンバーの1人だ。現在、このHP上の記載は削除されている。  ワシントン・ポストの報道から5日後の4月19日、武漢ウイルス研究所研究員の袁志明は「絶対に研究所から出たものではない。我々には厳しい管理制度・科学研究基準があり、自信がある」と流出疑惑を強く否定した。  一方、冒頭でトランプが「故意」を疑ったように、ネット上で同研究所が開発した、「生物兵器説」が根強く囁かれていた。同研究所内には、有効な治療薬や予防法がない病原体について研究する「バイオセーフティレベル4」の施設を備える国家生物安全実験室があることも疑惑を深める。2月末、筆者が米国を訪れた際、中国勤務の経験がある米政府当局者はこう答えた。

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峯村 健司/文藝春秋 2020年6月号

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