【競馬】「競馬予想AI」はどれくらい当たるのか? 過去には968倍、2644万円の払い戻し実績も!
もうひとつ気になるのがAIの"見解"だ。囲碁のAIは局面ごとの最善手は示してくれるが、その理由を教えてはくれない。いわば「俺の背中についてこい」タイプだ。競馬AIも見解を言語化してはくれないのか? 「中にはそこを頑張っている方もいます。単純に数字だけだと、馬券購入者の納得感につながりませんから」 実は大会主催のネットドリーマーズでも競馬AIを開発し、netkeiba上に予想を公開しているという。その名も「Aiエスケープ」。文字どおり逃げ馬を割り出し、展開を推測、それを予想の柱とする独自のコンセプトだ。村井氏は同社のエンジニアである高橋拓也氏と共にこの開発に携わっている。 「逃げ馬によってペースが変わります。各馬の脚質を考慮に入れ、ペースが速いか遅いかを予測する。ほかのAIとの差異化を図り、netkeibaで作成したタイム指数を用いているのも特徴です」 レース後、展開を勝因・敗因にする騎手も多い。スタート後の位置取り、ほかの馬との駆け引き、仕掛けるタイミング、最終コーナーでの位置、展開を完璧に予測できれば、大きな武器になることは必定だ。何よりユーザーに納得感を与えられる。 「展開、ペースを7段階に分けて読者に示しています。7、8割はこのとおりになるので、ペースに関してはけっこう当てているかと」と村井氏は胸を張る。 「ペースが遅くても瞬発力のある馬なら後ろからでも届いてしまうし、逃げ馬が恵まれても自身の脚力がなければほかの馬に捕まってしまう。ペースの予測だけでは限界があるので、特徴量(対象データの特徴を表した数値)も読み込ませて各馬の総合的な指数、強さを割り出すことが大切。われわれ開発者もそのあたりに苦心しています」 ■競馬予想AIの未来 ここまでくると競馬予想AIはすでにわれわれ人間を凌駕(りょうが)したかのように思える。果たしてAI予想にはどんな未来が待っているのだろうか? 「これからはAI同士の戦いになっていくのではないかと思っています」と村井氏は断言する。 「人間に関しては目先の当たり外れで儲かることはあっても、同じやり方をしている限りはAIのほうが強いと思います。AIはこのレースだったら1万円、こちらだったら10万円と、そのへんの判断もできる。トータルで考えるとAIのほうが強くなっていくはずです」 また、AIがトータルで人間より強い理由はもうひとつあるという。