福袋は「企業泣かせ」? 意外な成り立ちと工夫を凝らしたコロナ禍の戦略
40年以上福袋を毎年購入し、365日福袋の情報を発信するWebサイト「福袋カレンダー」のMOMOTAです。最近ではブランドや百貨店の福袋の企画の手伝いもしております。 【画像で見る】コロナ禍で工夫を凝らす福袋商戦 そんな私が今感じていること、また、さまざまなジャンルの福袋担当者から聞いた今回の福袋動向なども交えながらお話ししたいと思います。
福袋の起源は「反物の切れ端」?
まずお話ししておきたいのが、現在の福袋がどういうものかということです。 福袋は江戸時代に三越百貨店の前身である「越後屋」から始まったといわれています。当時は反物の切れ端を袋詰めにして販売し、購入客が自分のお気に入りの切れ端だと「当たり」違う場合は「ハズレ」と、庶民に楽しみを与えていたものでした。 時代は変わり、価値観が大きく変化した現代の福袋は「特別セット」といえます。一昔前でいうと、歳末大バーゲンにノベルティを付け加えた商品であるということです。 年末になると「福袋」というワードがあちこちで聞かれるようになりますが、実は年末だけではなく1年中名前を変えて「お楽しみ袋」「ハッピーバッグ」「ラッキーバッグ」「特別セット」として販売されています。当然、昔ながらの風習として、年末に用意し年始に販売する「福袋」は参入する企業やお店が多くなります。
福袋は「企業泣かせ」?
私が小売りの担当者と話をしていて耳にするのは、実は福袋には消極的であるということです。とにもかくもうからない……。セールで金額を下げて販売する方がよほどもうかるというのです。それはその通りだと思います。福袋は、値段を下げた上にノベルティも付属する形なのですから。 SNSが生活に浸透した5~6年前などには、中身の品質に問題があったり、自身の価値観とは全く違う内容の福袋だったりすると、SNSで大きな話題となりバッシングされ、一部では商品ブランドの社長が謝罪することもありました。あくまでも“顧客サービス”の側面であった企業側の考えと違った方向に進んでしまったのです。 こうなると企業側も福袋の販売を“顧客サービス”という側面を残しながらも、商材として見ていくしかなくなるのです。